書籍『ギネス世界記録 2018』 公式インタビュー :中村憲剛選手(川崎フロンターレ)

"好きなことをコツコツやると、いつの間にか到達している。"

川崎フロンターレの中村憲剛選手は「2016Jリーグアウォーズで最優秀選手賞」を受賞したことにより、「Jリーグアウォーズ最優秀賞選手賞を受賞した最高齢選手(36歳50日)|Oldest player to win the J.League player of the year award」という記録タイトルでギネス世界記録に認定された。今も、川崎フロンターレをリードし、Jリーグ屈指の司令塔として活躍し続ける中村選手にインタビューをしました。永遠のサッカー少年が、忘れずに胸に抱いてきた想いとは、どのようなものなのでしょう?
 
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昨季(2016年)にJリーグアウォーズ最優秀選手賞(MVP)を受賞され、改めて「Jリーグアウォーズ最優秀選手賞を受賞した最高齢選手」としてギネス世界記録に認定されました。認定を聞いた時の印象をお聞かせいただけますか? 

 
最初はチームのドッキリかと思いました。それくらいギネス世界記録には縁がないと思っていたので、嬉しいよりも先にビックリしました。身内やサポーターの皆さんが自分以上に喜んでくれて、色んな人を幸せにすることができてすごく嬉しいです。MVPというJリーグ個人賞としては最高の賞をもらい、今度は世界記録をいただき、両方とも永遠に残る記録なので誇らしいですね。自分が今までやってきたことの1つの証となりました。
 
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ギネス世界記録は、「どんなことでも、自分の得意なことを見つけて世界一になれる場」を提供しています。中村選手が「プロ」を意識したのは、どんなタイミングでしたか?

 
 正直、プロになれるとは思わなかったです。でも、プロになれないとも思わなかったです。自分で自分の可能性に蓋をしたことは1回もなく、かといって、プロになれる算段はなかったので、ただ毎日練習と試合を繰り返した結果、今ここに立っています。高校も大学もプロになってからも「僕なら絶対できる」という確信的な強さを持つというよりもむしろ、「どういうサッカーがしたいか、自分に何ができて何ができないか、スタメンで試合に出るためにはどうしたらいいか」を四六時中考えて試行錯誤してきました。
 
 「可能性に蓋をしたことがない」とのことですが、可能性というものをご自身の中でどう捉えていたのでしょうか?中学時代にキャリア最大の挫折があったとお聞きしましたが、大抵の人は挫折するとそこで諦めてしまいますよね
 
 好きだったんですよね、サッカーが。小学校の頃からずっとやっていたので、自分の人生から切り離せない存在でした。だからやれたっていうのがあります。可能性に蓋はしてなかっただけで、ほったらかしですよ。ただ毎日サッカーをなんとなくやり続けて、そこで進路の選択があって、高校、大学とサッカーを続けて。
 
行った先が良かったっていうのは自分の判断っていうのもあるし、巡り合わせというのもあるし、そこは運かもしれないですけど、運を結びつけたのは自分ですよね。強豪校ではなく、そこよりも弱いと周知されていた学校を選択したのも自分が招いたし、高校で活躍できたから今度は大学で活躍できるレベルにまでなった。川崎フロンターレに入る時もそこしか受けてなくて、就活もしてなかったし落ちたらどうしようかなと思ったんですけど、何とか綱渡り状態で今に至ります。
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 ポーターの皆さんはサッカーをしている選手の姿を観て、「最後まで諦めない」ことを学んで勇気づけられていると思いますが、中村選手にとって1番力を与えてくれている存在は何になりますか
 
家族はもちろんですが、サッカーでいえば一緒に戦っているサポーターの皆さんです。僕の中でホームタウンの等々力での試合は特にサポーターとの一体感を感じます。10月14日の自身のJ1通算400試合の時も、「最後まで諦めない」って皆が最後まで声を張り上げて頑張ってくれた結果、非常に良い空気を作ってもらえました。
 
だから、僕はフロンターレに入ってすごく良かったなって思うし、特にあのスタジアムの空間の中には、どうやったってそんなにならないよっていう1試合が自分の400試合目にきて、人知を超えた力を感じました。その空気感を作ってくれているのはスタジアムに足を運んでくれるサポーターのおかげで、だいの大人たちが一緒になって泣いたり笑ったり心を揺さぶられる空間を作りたいとフロンターレでずっと頑張ってきたので、あとの人にもつなげてあげたいと思います。 
 
フロンターレの試合運びはリスクのあるパスを出すなど超攻撃的なサッカーをしますよね。勝ちだけにこだわったらつまらない試合もできるなか、「一緒に戦う観客を喜ばせたい目線」と「勝たないといけない目線」に対してどのようにバランスをとっていますか?
 
フロンターレとしての在り方は、見ている人たちも面白くて、プレーする選手も面白くて、かつ勝利することをずっと目指しています。そういう意味では、自分たちはプロとしてその期待に応えなきゃいけません。ただ、いくら試合が面白くても負けたら皆の足が遠のくし、成績も落ちていけば人気もなくなる。そのギリギリのところでチームは戦っています。 
 
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J1通算400試合出場を達成されて、37歳になった今、新たに目指されているものはありますか?
「明日、自分がもっと上手くなりたい」ということだけです。サッカーが好きであれば上手くありたいっていうのは選手としてはなければいけない気持ちだと思うので、そこは変わらないですね。じゃあそこで、「今年もMVP取ります!取りたい!」というのが先ではないんです。やった結果、去年ももらったので。僕っていう人間は多分そういう方が良いと思うんですよ。 目標が先に来ちゃうとダメなタイプなので。自分が好きだと感じたことをコツコツやることで、その目標にいつの間にか到達しているのがベストですね。週末の試合で良いプレーをしなきゃいけない。今はそれだけです。毎日の連続がその結果を生んでいるんです。
 
 
すでにサッカーのテクニックにおいては相当なレベルに達していると思うのですが、「まだ上手くなりたい」と思えることは凄いことですよね。
 
サッカーって無限なんですよ。90分間どんなプレーもミスしないで終われば満足すると思うんですけど、絶対ありえない。どうしたってミスはするし、だから面白いしチャレンジできる。それを続けた結果、ギネス世界記録に認定されて本当にありがたいです。
 
好きなことして、素晴らしい賞をもらえるってこんな良いことないじゃないですか。好きなことをして認定されるのがギネス世界記録だと思うんですけど本当に幸せだなと思いました。逆に、認定されたからこそ今度は恥じないような活躍をしないといけないなと引き締まる思いです。
 
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中村選手を目指してサッカー選手になりたい方や、目指さなくても精神的な元気をもらって何かやりたいという方々に向けてメッセージをお願いします。
 
僕はプロに入ってからもプロに入る前からも「今日どれだけやったかな」とか「今日ダメだったな」とか、1日1日をじっくり過ごしてきました。最終的に自分が良い方へ向かうにはどうやっていくかというのは自分でしか考えられないし、自分でしか答えを出せないし、自分でしかやれないので、日々自分に問いかけながら生活をしてほしいなと思います。 だって、自分じゃないですか。責任取るのも自分だし、周りは何もやってくれない。やってくれても最終的に全部自分の身に起こる事は全部自分が招いたことだし、最終的に苦労するのは自分だから。自分の人生は自分で切り拓いていってほしいですね。
 
チャンスはどこにでも転がっていると思うんですよ。チャンスの拾い方って、自分の考え方とか過ごし方とか、本当に些細なことの繰り返しの積み重ねで運が転がっている。運っていう言い方はあまり好きじゃないんですけど、きちんと自分に芯があって、好きなことがあってトライしていれば、どんなかたちであれ、必ずプラスになることがあると思います。 
  
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年齢を重ねてもなおも逞しく自らを鍛え上げていく。日々の練習と実践の積み重ねから生まれた珠玉の言葉の数々、中村選手、どうもありがとうございました!! 中村選手の記録は、書籍『ギネス世界記録2018』にも収録されています。興味のある方は、こちらも、書店や図書館などで、ぜひお手に取ってみてくださいね。