ギネス世界記録 特別インタビュー : 丸々もとお

"夜景とは、人それぞれの何かを喚起するイマジネーションの入り口なのです"

小学生の頃に「夜景」に目覚めてからというもの、人生そのものを「夜景」に染められた人がいます。その人の肩書きには、「夜景」という文字がずらりと並び、誰もがしたことのない仕事を自分の好きな仕事として取り組んでいるのです。そして、この人物が、2015年6月、ギネス世界記録を達成することになりました。もちろん記録は、「夜景」にまつわる記録で「LEDでつくった最大のイメージ(Largest Image of LED light)」というものです。好きなものを一筋に探求し、好きなもので世界の頂点に立った男、丸々もとおさんにお話を聞きました。marumaru-light01.jpg丸々さんは普通の人とは、かなり異なる形でのキャリアを歩まれておりますが、どんなお仕事をされているのか、についてをお教えください。 ひとことで言えば、「夜景」に関わるわゆる仕事に携わっています。肩書きとしては、夜景評論家、夜景プロデューサー、イルミネーションプロデューサー、夜景コンサルタント、照明コンサルタントなど、様々なものになりますが、夜景にまつわることを企画して、形にして、集客につなげていく、という言い方が一番わかりやすいかもしれません。 企画も考えますし、デザインの原案もつくりますし、広報戦略も、クライアントとの打合せも、事務的なことも、全てをやりますね。ここ十年は、「夜景を紹介する」という仕事から、「夜景をつくる」という仕事へと移ってきていますね。 丸々さんが世界一を目指すようになった経緯はどんなものだったのでしょう? 僕がしている仕事というのは、とても特殊な仕事です。例えば、イルミネーションを観光というものと結びつけて仕事にしていく、という世界でも他に例がない仕事をしているわけです。当然、そこには賞も何も存在しません。しかし「世界一」という言葉が持つ力は、はかりしれない魅力があります。世界一ということを公的に言える。 つまりギネス世界記録に認定されることになれば、自分のような特殊で専門性が非常に高い仕事であっても、社会に対して何伝えることができるようになるわけです。だから、自分としては、「絶対、世界一になろう」、そう決めて目指すことになったのが、今回の挑戦でした。

marumaru-light03.jpg  それでも、「世界一になること」「ギネス世界記録に認定されること」を構想してからは、かなり時間がかかったようですね? それはそうでしたね。とにかくクライアントにも、理解してもらわないと決して実現できるものではないですからね。実は1年目は、光のトンネルの世界最長記録を目指そうとして、それをあきらめたんです。電球数が、とてもじゃないけど足りないと思えたからです。 ギネスワールドレコーズ側で提示してくるガイドラインというものも、想像以上に厳しいものに思えました。けれど、世界一になることは、絶対にあきらめたくなかった。だから、他の可能性も探りました。水のウォータースクリーンに映像を当てる面積なんてどうだろう?とか。でも、それじゃあ、イルミネーションというものからは、かけ離れてしまう。 それでようやくたどり着いたアイディアが、「光の地上絵」というキーワードでした。そして、挑戦する記録を当時、ウズベキスタンで記録が保持されていた「LEDでつくった最大のイメージ(Largest Image of LED light)」に決めたのです。 ところが、この挑戦を決断した2014年11月末に、100万球台だったこの記録はオーストラリアのキャンベラで破られ、110万球台になって、10万球以上のLEDが増えてしまったんです。数字で、「10万球増えただけでしょ?」って、言う人もいましたけど、ひと口で「10万」って言うのと、それを余分に用意するのは、全然意味が違います。もちろん、かかる費用だって、ウン千万円と変わってくるわけです。 測定の当日、公式認定員も現場へ出向きました。そのときの様子を覚えていらっしゃいますか? はい、もちろんです。実は自分、あのときは、現場で泣いてしまったんです。あの認定に至るまで1ヶ月間ほど、根を詰めて集中していたのもありますし、電気関係者の方々を「ギネス世界記録の認定」という非日常の業務に従事してもらえるように説得も重ねなければならなかった。 もちろん、クライアントあっての記録挑戦でもありましたから、その点にも配慮する必要がある。それで当日は、朝の新幹線での到着を出迎えにいって、現場では男性12人くらいが、夜11時過ぎまで技術的な確認作業をするわけです。そこへ厳しいことで知られるギネス世界記録の公式認定員が鋭い目を向けている。 この日は、ウカソヴァさんに来ていただいていました。その状況自体が緊張感の高いものだったのかもしれませんね。そして、僕は、ウカソヴァさんにこう言われた。「結果が出ましたが、この結果は、(公式発表の日である)明日、お教えしましょうか?」と。しかし、僕は、もう待てなかった。だから、思わず「ここだけということで、結果を先に教えてください」と僕は口にしてしまっていました。

すると丁度そのとき、その現場にいた関係者たちが、そこにぞろぞろと集まってきたんです。そして、彼女が、しっかりとオフィシャルな空気をつくって、流暢な英語で記録名を読み上げて、最後には、「You are officially amazing!! おめでとうございます!! ギネス世界記録の達成です」と言って下さった。

marumaru-light05.jpg  なるほど、絵に描いたような状況になったわけですね。 そうなんです。だから、それを聞いた途端、ボロボロと涙が流れてきて、まわりの人たちももらい泣きしてしまう始末でした。 嬉しかったのでしょうね。それでは、ギネス世界記録に実際に挑戦されてみてのご感想をお聞かせください。 まず、目指すまでは簡単だったのですが、はじめてみたらエライ大変だった、と言うことは確かに言えることですね(笑)。ただ、とってみて感じるのは、とても分かりやすく人に伝わる、ということです。 誰でも知っているし、みんな「凄いねぇ!」と必ず言ってくれる。自分にとっては、ひとつの大きなゴールだったのですが、ただのゴールというだけでもなく、色んな相乗的、波及的な力があるということを改めて感じています。 僕の仕事のテーマは、「世の中にない新しい価値をつくる」ということなのですが、ギネス世界記録の評価を得られたことで、このテーマがさらに影響力のあるものになっていくような感触がありました。でも、やはり、何よりも、世界一になることへの爽快感、達成感、中毒性のような気持ち良さを「ギネス世界記録保持者」には感じてしまいますね。 挑戦した甲斐があったというものですね。これからも挑戦は続けていかれるのでしょうか? そうですね。ただ、自分の場合、ゴールをクリアすると次のゴール、そのまた次のゴールという風に、どんどん欲が出てくるので、ゴール設定には終わりがないのです。しいて言えば、生きている数十年の間、どれだけのものを残せるのか?  それがひとつ、自分の中でのテーマではあると思っています。それから、具体的には、またギネス世界は狙いたいですね。実は、1施設で3つギネス世界記録をとる、なんていうのも、視野に入れていたりします。 marumaru-light06.jpg丸々さんにとっての夜景とは、どのようなものでしょうか? 自分が夜景に目覚めたのは小学校のときです。夜景には、様々な意味がある。都会に憧れて住んだ人にとっては満足できる風景だし、疲れた人には癒される風景になるうるし、野心ある人には元気をもらえる景色となります。 しかし、夜景のもたらす確かなものとして、僕が感じているのは、「イマジネーション」というものです。どういうことかと言うと、昼間の景色の中では、建物がなんとなく理解できる。見るものすべて、具体的に何かを確認できるわけで、その意味で絵画になぞらえれば、具象画ということになる。ところが夜間の景色は、光と闇で構成される。光っているところと、光っていないところ。つまり抽象画になるわけです。 男女のカップルでも、友達とでも、家族とでも、仕事関係の人とでも、みんな夜景に感激すると、「わー、凄い」となる。ところが、それも5分、10分だけでしょう。その後は、夜景をみながら、みんな、自分たちの話をしはじめている。でも、明らかなのは、そこで交わされている会話が、普段とも異なる会話であるということです。 言わば夜景は、BGMならぬBGVのようなものになっているわけですね。それを合わせ鏡のようにして、ぼんやり自分の現在を見通しながら、会話を紡いでゆける。つまり、夜景とは、その人その人の持つ想像性を喚起するゲートなんですね。 marumaru-light


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書籍情報: 『ギネス世界記録2016』  クレイグ・グレンディ編 価格:3300円(税込) / 発売日:2015年 9月10日(木) 企画・制作・発行: 株式会社角川アスキー総合研究所 発売: 株式会社KADOKAWA