蒲鉾(かまぼこ)の世界記録が生まれた!

全長なんと87.95メートル!重量187kg。2015年10月4日、蒲鉾造りが盛んな小田原でこんな世界記録が生まれ、"Longest ita kamaboko"として、ギネス世界記録の新カテゴリーに認定されました。

主催は、県西地域世界一長い板かまぼこ作り挑戦実行委員会。地域が一体となり取り組むために、県、市、小田原蒲鉾協同組合、小田原かまぼこ通り活性化委員会が一丸となって組織されたもので、実際に蒲鉾造りにチャレンジしたのは県内外からの応募者1500名以上から抽選で選ばれた410名。未就学児から、76才の高齢者まで多くの参加者と、約2000名の来場者で賑わいました。

ギネス世界記録となるには、かまぼこの原材料、練り、成形、蒸し上げといった全工程について審査が行われます。

今回記録達成となった「板蒲鉾」は、ご存知かまぼこ板に、半月状に魚のすり身を盛りつけて蒸し上げるもの。審査の結果、100メートルには及ばなかったものの、板幅に対して大きさが足りない部分などを除いた87.95メートルが記録として認定されました。

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蒲鉾の由来

古来蒲鉾は、竹を軸としてすり身を塗りつけて焼いたもので、形状がソーセージのような形をした「ガマの穂」に似ていたことから、転じて「かまぼこ」と呼ばれるようになったとされています。

諸説ありますが、一般的な「板付き蒲鉾」の形となったのは桃山時代頃で、旧来の竹軸の周りに塗りつけられたものが、いわゆる「竹輪(ちくわ)」です。
一般的な原料としてはタラ類などに代表される白身魚が用いられる練り製品で、昔は白身魚が高級品であったことから、贈答品や縁起物として古くから親しまれています。 


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伝統ある「小田原蒲鉾」

今回記録達成の舞台となった小田原は、蒲鉾作りの産地として200年以上の古い歴史を持つ町です。海に面した小田原は、沿岸漁業が盛んで、陸揚げされた魚の保存方法の1つとして蒲鉾が発展し、小田原を起点として各地に蒲鉾の形で出荷されました。当時箱根を行き来する大名の口にも多くが届けられたと言われています。

「小田原蒲鉾」は、その後も明治、大正、昭和と発展を続け、生産量拡大に伴って、従来近海魚に頼っていた原料では間に合わなくなってきました。そこで小田原に遠くから運ばれるようになった原料が、底引き網漁で獲られた「グチ」です。スケソウダラなどが多く流通するようになった後も、「グチ」は高級原料として、小田原蒲鉾になくてはならないものとされています。 

世界に向けたメッセージ

今回のギネス世界記録達成した板蒲鉾は、小田原蒲鉾のこだわりである「グチ」のすり身を、これも木工の町としても広く知るられる小田原産木材を用いた板上で成形したものです。

100メートルの板の上に盛りつけられた蒲鉾は、端から端までが見えないほどの長さ。これに、蒲鉾を高温で蒸すためのボイラーとパイプがつながれ、午前10時に造り始めた蒲鉾が蒸し上げられて、ようやく完成したのは4時間後という壮大なスケールのイベントとなりました。甘く蒸しあがった蒲鉾は、チャレンジ終了後「おいしい!」の声とともに、皆の胃袋に収まったのは言うまでもありません。

本イベントは「未病サミット神奈川2015in箱根」(本年10月22・23日に箱根で開催)の関連行事として、地元の知恵を出し合い実現したものです。サミットの、様々な「知」を結集して未病の価値を、超高齢化が進む神奈川から世界に発信するという趣旨に沿って、蒲鉾業界だけでなく、参加した地元の人々、木枠造りに全面協力をした諸団体など、まさに地域一体となって成功させたイベント。

ギネス世界記録の認定を得て、全世界にどのようなメッセージとなって伝わってゆくのでしょうか。これからが楽しみです。

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