書籍『 ギネス世界記録 2017 』掲載!

※当エントリーは、発行時点の情報です

高校生xエボルタ。乾電池で鉄道走行世界最長距離!

由利高原鉄道を走った本格的な車両

チャレンジが行われたのは、秋田県由利高原鉄道鳥海山ろく線。同線の営業時間外を利用して、片道約10kmの区間を往復しました。挑戦したのは、埼玉県立川越工業高等学校電気科「電車班」のメンバー。使用された車両も、全て自分たちで製作したもので、全長4100mm、全幅1500mm、全高2900mm、総重量は約1.1t(乗車人員を含めると約2t)にも及ぶ本格的なものです。そして、動力源は、パナソニック乾電池EVOLTA(エボルタ)単一形600本です。

今回のギネス世界記録認定にあたっては、次の、主な5つの条件が定められました。 ・市販乾電池のみで車両を動かす ・車両重量700kg以上 ・挑戦中の車両修理なし ・上り坂方面でスタート ・20kmを走り切る これらを見事にクリアして、22.615kmを走破。2時間47分での記録達成となりました。


r_evolta2015.jpg

世界一への挑戦を続けるエボルタ

今回のチャレンジは、EVOLTA(エボルタ)の長持ち性能とパワーを実証するために、パナソニックが毎年行っている「エボルタチャレンジ」の一環として行われました。乾電池EVOLTAそのものも、2008年に「世界一長持ちする単三形アルカリ乾電池」として、ギネス世界記録に認定(2014年再認定)されていますが、2013年には同電池を用いた秋田新幹線「E6系スーパーこまち」が世界最長のプラレール(R)コース、全長5.60844kmを走破して、やはりギネス世界記録(「最も長いプラスチック製おもちゃのレール」)に認定されています。続く2014年には車両の有人走行を成功させ、そして今回のギネス世界記録認定と、その実力はまさに折り紙付きと言えるでしょう。


走れ!川工電鉄!!

川越工業高校では、2011年以来、電気科「電車班」の3年生が製作する「川工電鉄」がつとに有名で、その車両は鉄道ファンの聖地と言える「鉄道博物館」でも展示・デモ走行が行われたほどの実力。今回の車両にも授業で習った安全設計回路や、油圧ブレーキの採用、キャリパーの複数化など、外観だけではわからない本格設計が取り入れられています。

今回の挑戦日となった11月3日・文化の日は例年「晴れの特異日」とされ、好天に恵まれることが期待される日ですが、当日は生憎の雨模様。それでも午後12時半過ぎに前郷駅を発車した車両は、生徒に加えて報道レポーターまで乗せ、順調に走行。懸念された18°の登りもスピードを落としながらも力強く走り抜け、途中駅で運転手を交代しながら無事ゴールに到着。地元の皆さんの温かい拍手と声援の中、ギネス世界記録認定証が授与されました。


evolta-tuika1.JPG

チャレンジ精神が未来の伝統をつくる

今回の埼玉県立川越工業高校のチャレンジは、決して一朝一夕で成し遂げられたものではありません。電車班として困難な車両製造の工程を一つ一つ克服し、本格的な車両を完成させるまでに至った先輩の皆さんが培った技術、学校のバックアップ、車両デザインを担当したデザイン科の皆さん、そしてもちろん現役電車班メンバーの熱い思いと、日本を代表するパナソニックの乾電池技術。これら全てが融合し、多くの協力や努力の積重ねの上に結実したものと言えるでしょう。

明治41年からの歴史を持つ川越工業高校は、日本を代表する技術者や開発者を多く輩出しているそうです。今回のチャレンジを見て、その伝統は過去の歴史に依存するものではなく、新たなチャレンジを生む土壌とその挑戦者によって塗り替えられていくものだと感じます。そのチャレンジ精神こそが、これからの伝統を作り、日本を支えて行ってくれることでしょう。


r_evolta2015_4.jpg
  • 記録名:Longest distance traveled by a vehicle on a railway track powered by dry cell batteries
  • 記録:22.615 km (14.05 miles)
  • 記録保持者:Panasonic Corporation and Kawagoe Technical High School (both Japan)
  • 挑戦日:2015年11月3日
  • 挑戦のタイプ:技術(匠)の記録
  • 挑戦のポイント:市販の乾電池だけでリアルな公共乗り物を長い距離動かすという快挙に加えて、パナソニック・エボルタのサポートを受けながら、高校生の製作チームが世界一にチャレンジしたことが意義深い。

(C) TOMY 「プラレール」は株式会社タカラトミーの登録商標です。

 
2016年9月8日発売『ギネス世界記録2017』には、様々な記録を収録しています。詳細は、コチラへ。


JapanCover250