書籍『 ギネス世界記録 2017 』掲載!

※当エントリーは、発行時点の情報です

山形県長井市は、県の南部に位置する人口約2万5千人の市です。「水と緑と花」のキャッチフレーズの通り、山の恵みの水と美しい自然に囲まれた長井市は、もう一つ「けん玉のふる里」として、日本一の競技用けん玉生産量を誇る市でもあります。そんな長井市から、2016年2月14日、「悲願」とも言えるギネス世界記録が生まれました。
 

けん玉のわざをつないて行く 

まずは、今回達成された記録がどういうものかご紹介しましょう。
 
挑戦記録名は「Longest line of people catching a kendama ball consecutively」、つまり「けん玉を連続してキャッチする最多人数」ということになりますが、ここでの「キャッチ」はもちろん手でキャッチするわけではなく、けん玉の技で言うと「大皿」というものに当ります。
 
これは真っ直ぐに垂らしたヒモの先のけん玉をぐっと引き上げ、一番大きなお皿の上にのせるという、けん玉のわざとしては最も基礎的なものです。
 
誰もが経験のあるけん玉の基本わざとしては、この他に小皿の方にのせる「小皿」や、玉をけん先で受ける「とめけん」などがありますが、今回は大勢のこどもたちが参加することもあり、この基本わざが選ばれました。ちなみに「大皿」は、けん玉の技百選(NPO法人日本けん玉協会)として定められた100種類のわざでもその筆頭に掲げられています。
 
ギネス世界記録への具体的な挑戦方法としては、参加者がリレー形式で順番に「大皿」をきめていくというもので、
  • 1人5秒以内
  • 失敗すると最初の人に戻る(但し3回まで)
  • 100人以上のリレー成功で記録認定
という厳格なルールのもとで行われました。
 

2回の失敗、けん玉世界記録への再々挑戦 

実は今回のチャレンジは3度目となります。最初は昨年6月のあやめまつりのオープニングイベントとして、2回目は昨年9月のシルバーウィークのイベントとしてのチャレンジでした。
 
結果は1回目が57人2回目が74人で、残念ながら記録認定の最低水準100人には届きませんでした。
 
けん玉のわざとしては基礎的なものとは言え、大勢の人々が見守る中で、世界記録達成を自分のところで止めてはならないというプレッシャーは、相当なものに違いありません。
 
その緊張感は、なんとか成功して子供たちに記録認定を発表してあげたいと願う私達認定員側にも伝わってきて、いつもこちらが手に汗をかいてしまうほどです。
 
以前小さいお子さんが失敗をされた際も、みなさんで「ドンマイドンマイ」と盛り上げながら、3回挑戦をされていました。その時は結局最低条件に届かなかったものの、そうやって皆さんで団結する姿や、あきらめずにチャレンジする精神そのものが、記録達成のいかんに関わらず素晴らしいものと言えるでしょう。
 

3度目の正直でギネス世界記録へ

3度目の挑戦となる今回は、競技用けん玉生産日本一を誇る長井市の名にかけて、悲願とも言えるものでした。イベントを主催するのは「べにばなレジェンド」の皆さん。
 
1992年に山形県で開催された「べにばな国体」でけん玉のデモンストレーションを行った、当時小学生の皆さんが中心となり、けん玉を広げる活動をされている団体です。
 
今回の挑戦では、市内小学校で子供たちと一緒に練習会まで行い、記録再挑戦への準備を進めてこられました。
 
2月14日(日)、長井市置賜(おきたま)生涯学習プラザには160人の参加者の皆さんが集まり、それぞれけん玉を手にして横一列にずらりと並びました。
 
たくさんの小学生の子供たちから年配の方まで年齢層も幅広く、長井市のけん玉人口の層の厚さを感じさせます。記録挑戦がスタートすると、端から順番に次々と「大皿」をきめていきます。
 
100人が連続して「大皿」を成功させるというのは、例えば自分で「大皿」を100回連続で「確実に」成功させられるかを想像してみると、いかに大変な事であるかが想像できるでしょう。10回20回は出来ても、100回成功させるのは大人でもかなり難しいと思います。

それを小さな子供たちが、次々と成功させていく様子はまさに驚きです。通常の状態でも難しいのに、緊張感も加わって、難易度は更に上がっていたに違いありません。
 
記録達成の様子はビデオ撮影され、ギネスワールドレコーズジャパンにおいて審査が行われました。結果114人が正式記録と認定され、見事世界記録の樹立となりました。おめでとうございます!!
 
 
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競技用けん玉生産日本一のまち、山形県長井市

冒頭でも触れましたが「水と緑と花の奥座敷」の異名を持つ長井市の観光HPには「その昔、この町には港がありました-。」といったキャッチコピーとともに、美しい水や花の映像が流れます。山形県長井市は、県最南部・米沢市に隣接する「内陸の」市で、地理的には山地に囲まれた盆地です。
 
「その昔港があった」というと不思議な感じがしますが、古くは最上川の舟運で栄えた米沢藩の交易都市で、日本海に面した酒田港から最上川を通って米沢へ至るルートの終着港だったのです。
 
そんな長井市が県の産業として力を入れているものの一つが、日本一の生産量を誇るという競技用の「けん玉」作りです。
 
木材資源が豊富に手に入る長井市では、その有効活用をはかるために昭和50年頃からけん玉作りが始まり、同時にけん玉の伝承・普及を目的とした日本けん玉協会も設立されました。
 
高い精度を誇るけん玉は、競技用としての確固たる地位を築くと同時に、県のおみやげものとしても常に高い人気を誇り、まちの子供たちの間でも、様々なけん玉伝承のイベントや教室が開かれています。
 

けん玉をつなぐ・けん玉がつなぐ

見事に「けん玉のわざをつなぐ」世界記録を達成した長井市の皆さんですが、その挑戦は「けん玉日本一」の名にかけて、という意気込みが伝わって
くるものであったことは言うまでもありません。
 
二度のチャレンジ失敗を乗り越えての記録達成は、こどもたちの記憶にも、しっかりと何かを植えつけたことでしょう。また小さなこどもたちを、周囲の大人が励まし支えながら取り組む姿は、けん玉を通じた確かな繋がりを感じさせてくれるものでもありました。
 
記録名:      Longest line of people catching a kendama ball consecutively
記録:         114人
記録保持者:Benibana Legend (Japan) at Nagai City Okitama Lifelong Learning Plaza, in Nagai, Yamagata, Japan
挑戦日:       2016年2月14日
挑戦のタイプ:けん玉の記録
 

「ギネス世界記録」に挑戦する

書籍 『ギネス世界記録2016』の詳細はコチラ

 
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-ギネス世界記録:様々な「けん玉」の記録

さて、今回の長井市の皆さんの挑戦は、「けん玉のわざのリレー」と言えるものでしたが、少し視点を変えて、けん玉にまつわるギネス世界記録には他にどのようなものがあるのか、ご紹介しておきましょう。
 

● Most people catching a kendama ball(最多人数による「とめけん」)

これは、けん玉のわざの中でも王道とよべる「とめけん」、つまり玉を回転させることなく垂直に引き上げてけん先で受け止めるわざを、大人数で一斉にやったら何人が成功するか、という、豪快・痛快なチャレンジです。また2013年1月に最初の記録(242人)が達成されて以降、2度に渡って記録の塗替えがおこなれた人気チャレンジでもあります。
 
現在の記録は、セレクトショップとして有名なBEAMSの皆さんが持つ568人で、なんと前記録だった248人のダブルスコア以上となる大記録です。チャレンジはKENDAMA TOHOKUという東北の復興支援イベントの一つとして、同社運動会において取り組まれました。
 

● Largest kendama lesson(最大のけん玉教室)

もう一つ、大人数によるチャレンジをご紹介します。こちらは、2015年2月に福島県白河市で行われたチャレンジで、やはり東日本大震災の復興支援プロジェクトの記念イベントとして取り組まれたものです。子供から年配の方まで268名もの参加者が集まり、けん玉の歴史や「大皿」「ろうそく」「とめけん」といった具体的な技について学ぶ、けん玉教室が開かれました。
 

● Longest kendama catch(もっとも長いとめけん)

日本テレビ「ギネス世界記録のイケメン&美女100人」という番組内で行われたギネス世界記録挑戦で、けん玉師として活躍される伊藤佑介さんが、なんと15mもの長さの糸のけん玉でとめけんを見事に成功させました。
 

● Youngest person to achieve a fifth dan level in kendama(最年少のけん玉五段達成)

最後にご紹介するのは、最年少で「けん玉五段」に認定された大川大和くんの記録です。日本けん玉協会が定めるけん玉段位は、難易度に応じて初段から最高位の十段までがありますが、この中で六段以上は年齢制限(20才以上)があるため、五段は年齢制限のない最高段位となります。

2015年3月、この五段に合格した時の大川大和くんの年齢はなんと6才と115日でした。実は大和くんのお父さんは、けん玉競技で数々の優勝を飾り、日本初の「プロけん玉講師」として活躍している方で、大和くんはけん玉のサラブレッドと言えるのかもしれません。
 
けん玉は日本人なら誰もが遊んだことのある、馴染みの深い遊具ですが、その起源は中世ヨーロッパとも言われ、世界各地に存在します。
 
一方、近年になって、日本のけん玉が海外の若者などにもKENDAMAとして浸透し、新しい文化が生まれようとしています。
けん玉を通じて、またその記録への挑戦を通じて様々な交流が生まれ、新しい時代へと繋がっていくことでしょう。
 

ギネス世界記録で地域活性『町おこしニッポン』とは?

ギネス世界記録は、日本全国の地域活性のキッカケとなる世界への挑戦を応援しております。

 
2016年9月8日発売『ギネス世界記録2017』には、様々な記録を収録しています。詳細は、コチラへ。


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