The deepest dive under ice – breath held (fins and diving suit) by male is 70.3 metres (230.643 ft) by Ant Williams

ニュージーランド在住のフリーダイバー、アンソニー・ウィリアムズさんが、ギネス世界記録タイトル「息を止めた状態で氷の下を最も深く潜った男性(フィンとダイビングスーツ着用)|deepest dive under ice – breath held (fins and diving suit) by a male」に認定されました。

2019年3月27日、アンソニーさんは凍りついたノルウェーのフィヨルドに入り、深さ70.3 mまで潜る事に成功しました。ダイブしていた時間は2分29秒。ほぼ真っ暗な状態の中、下へ下へと押し進んでいきました。

氷の下を潜る事は体力的にも精神的にもプレッシャーがかかるもの。パニックや体の硬直など、本来起き得る体の反応をコントロールしながら挑戦を進めていかなければならないのです。

ギネスワールドレコーズは、アンソニーさんにインタビューを行い、氷の下を潜るフリーダイビングの魅力などについて聞きました。

Ant Williams

ーーフリーダイビングを始めたきっかけを教えてください。

フランスでスポーツ心理学者として働いていた時に始めました。私が関わっていたアスリートはベースジャンピングやMotoGP、ビッグ・ウェーブ・サーフィンなど、危険なスポーツをやっていました。アスリートたちがどのような環境にさらされているのかをより良く知るために、危険なスポーツに挑戦してみようと思ったのです。

Ant Williams record attempt

なぜこのギネス世界記録に挑戦しようと思ったのですか?

このエクストリーム・スポーツの限界地点まで行って、学べるものを探そうと考えたのです。限界まで行って初めて新しい技術を覚えたり、発想をしたりします。

Ant Williams ice freedive

挑戦前の準備期間、どのようなハードルがありましたか?

数多くありますが、中でも大きなハードルは、恐ろしいほどの不快感と、氷の下の暗闇に耐える事でした。冷たい水はウェットスーツを浸透して、それが顔に当たると、まるで棘で刺したかかのような痛みを感じます。そして深くなればなるほど暗さは増し、その黒い空間を1人で過ごすとなると、なかなかリラックスする事ができません。

Ant Williams ice dive record

どのようなトレーニングを行いましたか?

4か月間、週に2回のペースで深く潜るトレーニングをしました。そして冷たさになれるために、毎日冷たいシャワーを浴びました。そしてフィンランドでは1週間、毎日氷の下へダイブしました。

Ant Williams deepest dive ice

ダイブして周りが暗くなると、頭の中では何を考えるのですか?

潜っている時に気をつけなければいけないのは、「1人で深くて暗い水に沈んでしまう」という恐怖をコントロールする事です。水圧が強くなってくると「落ち着いて」と言い聞かせて、ダイビングを楽しむようにします。そして、自分の内面に意識を置いて、リラックス状態とダイビングのバランスを保つように心がけます。