search person
close

歴代プリキュアが映画に集結し、ギネス世界記録に認定!15周年映画のプロデューサーが語る、作品に込めた想いと記録挑戦の裏側

By Guinness World Records
発行済み

アニメ映画「映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」が、ギネス世界記録「アニメに登場する最も多いマジカル戦士の数|Most magical warriors in an anime film」に認定されました。

歴代のプリキュア55人が登場する、15周年記念の作品。ギネス世界記録に認定されるには、プリキュア1人ひとりが台詞を持っていて、魔法を使って戦うシーンがある必要がありました。公開初日には、ゲストにキャストの方々が見守るなか、公式認定証が授与されました。


ギネスワールドレコーズは本作品のプロデューサー、神木優さんにインタビューを行い、記録挑戦の裏について伺いました。

yt

ーーまず「プリキュア」とはどのような話なのでしょうか?

神木:プリキュアは女の子たちの話なんですけれども、女の子たちがある日不思議な力で変身して、それぞれのパワーを持って闘うというストーリーですね。アクションに力を入れているので、ガツガツ闘うのがプリキュアの特徴かなって思います。


ーー誕生の経緯について教えてください。

神木:プリキュアは2004年から始まりました。初代は「ふたりはプリキュア」という作品でした。当時は「続編を作る」という事はあまり考えていなくて、本当にいまこの作品を最大限面白くしていこうという気持ちで作られました。

今回「マジカル戦士」という名前でギネス世界記録タイトルを頂いているんですけれども、ただ魔法を使うだけのいわゆる「魔法少女」ではなくって、マジカルな力も使いますが時に拳でも闘うんです。

「女の子だって暴れたい」というコンセプトのもと、当時あった魔法少女への反骨精神ではないですけれど、「そうではない作品」を作ろうというところがスタートだったんです。 

ーー女の子だって暴れたいというコンセプトのもと、15年続いてきました。そのコンセプトはどのように受け継がれてきたのでしょうか?

神木:キャラクターやシリーズは1、2年で変わるんです。例えば「ふたりはプリキュア」の次は「ふたりはプリキュア マックスハート」で、その時は追加の戦士が現れるだけでした。でもその次の作品である「ふたりはプリキュア Splash Star」ではキャラクターが全部変わったり、キャラクターが住んでいる街自体も変わったんですね。



そうやって1年1年変わっていくというなかで、それぞれのスタッフや関係者が常に「私たちの作品が1番だ!」と思って全力でやり続けてるのが、ここまでずっと続けられた理由なのかなと思っています。

「プリキュアってこんなもんでしょ?」のようなことではなく、常にいまを生きる人たちが、それぞれの感性でその時代に合ったものを作り続けているところなんですよね。だからシリーズによって「何を描きたいのか」というのも違うし、「どういうキャラクターをお子様に届けたいのか」という想いも違います。

最近の作品では、昔よりももっと多様性を認める……つまり「色々な考え方があって、色々なカッコいいものがあるんだよ」という事が現れているかもしれませんね。今回の作品は、はぐたんという赤ちゃんがプリキュアの近くにいる事もあって、「お母さんとお子様」というところに焦点を当てた話数が多くて、そのなかにもいまの人々に伝えたいものがあると思います。


この映画を作る時に、テレビのプロデューサー(内藤圭祐氏)に聞いたんですけれども、プリキュアを強い存在として描きたい、そして一番強い人ってどんな人なのかなと考えた時に「お母さん」というワードが出たそうです。

でもお母さんの強さってパンチ力が凄いとか、物理的な事ではないじゃないですか。だから「お母さんをどういう視点から見ると強いの?」っていうところから、赤ちゃんが登場したり、いまの「HUGっと!プリキュア」の主人公は、拳でパーンと殴って解決するんじゃなくて、最後に敵にハグをするんですね。

「この作品の一番の魅力は?」と問うた時に「キラキラ可愛かったら良いんでしょ?」ではなくて。それが脈々とつながれて、ギネス世界記録にも認定された映画などもできあがっているのかなと思いますね。

ーーギネス世界記録に挑戦しようと考えたのはいつ頃ですか?そして、なぜ挑戦しようと考えたのですか?

神木:まず、プリキュアは15周年なんですが、なんで20周年とか10周年とかじゃなくて、いまアニバーサリーの映画を作ったのかというと、プリキュアを観てくれていた5歳の女の子が15年経つと20歳になるからなんです。

20歳になる……つまり子どもから大人になるような時期の方々に、いま一度あの時プリキュアを観てて感じた事とか、当時込めてたメッセージをいま思い出したら、いまを生きるお姉さんになった人たちに何か恩返しができるんじゃないかなというところがコンセプトになっているんですよ。

なので、そのコンセプトをプリキュア15周年の作品に落とし込んでいくために、歴代の55人が出る事は重要でした。それぞれのお客様が大好きだったプリキュアにセリフがあるとか、アクションを1人残らず全部かっこよく見せるとか、そういう作り方になっていきました。


そんななか、ギネス世界記録に挑戦する事を考えたのは1年半くらい前です。その理由はまず「プリキュアがこんなに続いてきてくれたんだよ、ありがとう」という事を伝えたかったからです。この子たちをみんな出すのは大変なので、その凄さをもう少し分かりやすくお客様に伝えたかったんです。

プリキュアは「オールスターズ」という全員が出てくる作品を以前はやっていたのですが、あまりにも人数が多くて途中でできなくなってしまいました。でも今回、満を持して、「もう1回全員出します」となりました。ですが”製作のカロリー”的にはみんなが本当にがんばるという事なので、現場のパワーというか、そういう事も含めてお客様に少しでも伝わればいいなと思いました。

ーー55人のプリキュアを登場させるにあたり、難しかったところは何ですか?

神木:それぞれのキャラクターの空気感が流れ込んでくるから、作品を一色に染めるというのが難しかったです。あとは物量ですね。3回ぐらい「できあがらないんじゃないかな」って思いました。

ーー作品で気に入っているシーンを教えてください。

神木:やっぱり最終的に一番アツくなるのは、お客様が入った、ミラクルライトの場面だなって思います。プリキュアの映画ではお客さまが会場で配られるライトを持って、プリキュアを応援しながら映画を観るという事が習慣になっていて、今回もその流れを汲む事を決めていました。そして、今回にしかできない使い方をさせたいなってずっと思っていました。15年の間でプリキュアを想ってきてくれた気持ちに対して、感謝の気持ちを伝えたいというのがあったんですよね。


今回ミラクルライトを光らせる時というのは、一番長く使うところ以外にも、「その人のためを想う」とか、「その人を好きだという気持ちを込める」とか、そのような想いを込めたら光ります。そして、それの表現の仕方の1つが「応援」です。

プリキュアを想ってきてくれた気持ち、プリキュア自体が他のプリキュアを想ってきた気持ち……。そういうところにミラクルライトのシーンがあり、そのシーンに関連して、沢山のプリキュアが登場します。想いに対してプリキュアが立ちあがるっていうところで、その想いの大切さが少しでも多くの人に体感して頂けたらなと、スタッフと話ながらシーンを組んでいったのを記憶しています。

なのでやっぱり劇場に観にいったら、画面の外で行われる演出の一部となっているお子様の声だったり、ミラクルライトで観客から光が放たれた時は、私たちが作ったものとかじゃなくて、映画館全体として良いシーンだなって感じます。その演出がある映画館で観た方が、55人のプリキュアがより頼もしく見えるから、そこはいつもやられますね。

ーーギネス世界記録に認定され、どう感じていますか?

神木:嬉しいです。でも今回どうして達成できたかというと、例えば声が入っている、名前がある、戦っているとか、物理的な条件をクリアしたから達成できたんじゃないと思うんですよ。

いま1人ひとりに名前があって、台詞があてられる”マジカルウォリアーズ”がこの映画にいるかというと、それを支えてくれたお客様の皆様だったり、監督やスタッフが1つひとつつないできてきたからこそ。いまこの15周年でみんなが集まる事ができている……その重さを感じました。そしてそれが今回、ひとつの形になってよかったなと思います。


いままでそういう気持ちはあったけど、それを表す事 ができませんでした。でも今回「おめでとうございます」と表彰してもらったから、みんなが協力してくれた事がすごく報われた気がします。

私はプリキュアシリーズ全作品のプロデューサーもディレクターもキャストさんも知っているので、例えばみんなが戦うシーンを観ていると、それぞれの担当者の顔が目に浮かぶんですよ。みんなで繋いできた想いが15年間続いて、いまの子たちに戻っていくところに、すごく感動しますね。

ーープリキュアシリーズの今後について、どんなものになってほしいと思いますか?

神木:プリキュアがどうして続いてきたのかというと、それは挑戦してきたから。良い意味で昔のものにこだわらないという事。いま一番最高のものをやるっていう事への想いだから。前の担当者からは「自由にやりなさい」と言われるんですよ。だからこれから先、まだ見ぬプリキュアのみんなにも「全力で楽しむ。挑戦する」という事はやってほしいなって思います。お客様と一緒に育てていく……それが良いんじゃないかなと思います。


ーー本作品をきっかけに、特に海外でプリキュアに興味を持った方々に、メッセージをお願いします。

神木:もしかしたら、海外の方々から見たら、何か独特に感じるところもあるかもしれません。こんなにたくさんのキャラクターがプリキュアシリーズにいて、いろんな魅力を持っているので、ひとりでもいいからキャラクターを好きになってくれたら嬉しいなって思います。みんな1人ひとり違って、1人ひとり良いところがあるんで、映画の一瞬でもそういった良さを出せるようにと心を込めたつもりなので、ぜひ1人ひとりを見て楽しんでいただきたいです。

©ABC-A・東映アニメーション
©2018 映画HUGっと!プリキュア製作委員会