大手製薬メーカーの協力のもと、207,169292投与分の薬を無償提供
世界の熱帯地域では寄生虫や細菌による「 顧みられない熱帯病|Neglected Tropical Disease: NTD 」という疾病が貧困層を襲っています。どんな熱帯病かというと、アフリカ睡眠病、ギニア虫感染症などです。
この熱帯病を制圧するためのグローバル活動の一環として、世界各地のUniting to Combat NTDsプログラムパートナーたちが「 24時間以内に医薬品を寄付した最多数(複数拠点)| Most medication donated in 24 hours(multiple venues) 」というギネス世界記録を樹立しました。認定証の授賞式が行われたのは、スイス・ジュネーヴです。
どれくらいの薬が寄付されたかというと、207,169292回投与できる用量です。これほどの量の薬がビル&メリンダ・ゲイツ財団のほか、バイエル、エーザイ、ギリアド・サイエンシズ、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、MSD、メルクKGaA、ノバルティス、ファイザー、サノフィといった製薬メーカーの協力のもと、無償提供されました。
2012年に発表された「ロンドン宣言」から5年を経て今回の挑戦を企画
このギネス世界記録の背景にあるアイディアは壮大なもので、きっかけは5年前の2012年にさかのぼります。当時、何千人もの無力な人たちを苦しめている「顧みられない熱帯病」の全17疾病を最終的に撲滅するという声明を世界保健機関(WHO)が出しました。
WHOがこの熱帯病問題に取り組む「推進ロードマップ」を示したのち、同年ロンドンで大手製薬メーカーや政府等が結集し、そこで2020年までにまず10種類の疾病制圧に向けて共闘していくという共同声明「ロンドン宣言」を発表しました。
人道的なドミノ効果をもたらしたこの時の結集イベントから5年経たということで、今年の1月30日に今回のギネス世界記録挑戦が行われたというわけなんです。
5年間で3億人以上の人の予防治療
財団、医薬品メーカー、政府の協力という国際官民パートナーシップのおかげでこのような大規模な無償提供が可能になり、普通では考えられない数の人たちの手に薬が行き届きました。過去5年を通してみても、それこそ最初は17種類の疾病撲滅を目標としていたため、「顧みられない熱帯病」のうち1種類以上の予防治療が必要だった3億人以上の人々が今では、もはやそれらを必要としていないのです。とても素晴らしいことですよね。
今回樹立したギネス世界記録はUniting to Combat NTDsの参加パートナー全員の努力の賜物といえます。彼らが連携したおかげで、熱帯病蔓延国の一部の人々の病苦を取り除いたのです。
「現地に向かった勇気ある医療従事者だけでなく、今回の記録は、倉庫から医薬品を運んだ物流業者、その薬の寄付を受け付けた当局、遠方の蔓延国まで薬を届けたNGOや政府プログラム関係者たちの仕事ぶりも忘れてはいけません。」と主催者も述べています。
多様なパートナーシップが今回のギネス世界記録達成に貢献
この5年にわたり、Uniting to Combat NTDsは重症熱帯病と闘う数百万人を著明に改善させてきました。同組織は現在、「顧みられない熱帯病2020年撲滅」を目的としたWHO推進ロードマップを支援する世界最大の寄付プログラムの1つと考えられています。
今回達成された「24時間以内に医薬品を寄付した最多数(複数拠点)| Most medication donated in 24 hours(multiple venues) 」という記録は、連携、同方向をみる戦略、多様なパートナーシップが人にどんな影響を及ぼせるのかを示してくれましたね。
同記録に対して、金銭面で協力したビル・ゲイツは次のように語っています。
「当然のことながら、すべての世界記録は挑戦を受けますよね。この医薬品寄付の記録が破られる日がくると思うとワクワクします。この気持ちは、世界中で薬を必要とするファミリーたちも同様でしょう。」
自分たちが樹立した記録ですが、今後も誰かがこの記録を破り、薬を必要とする人たちに今回の記録以上に沢山の薬が行き届いてほしいというゲイツ氏の優しいお気持ちが伝わります。
◆誰かの助けにつながる!チャリティーのギネス世界記録
★24時間以内に集めた最多のヘアードネーション|Most hair donated to charity in 24 hours
ヘアードネーションというのは病気などで髪の毛を失ってしまった方に髪の毛を寄付する取り組みです。2015年9月にフィリピンでこの取り組みが行われ、82.21kgの髪の毛を寄付できることとなりました。1,345人が協力したそうです。
★1時間のうち飢餓救済ミールの最多パック数(チーム制)|Most hunger relief meals packaged in one hour (team)
2013年9月にNPO法人のNumana, Inc、TEEM Haiti、Bobby Bones Showら(いずれもアメリカ人)が、お米、大豆、乾燥うずら豆、ビタミン・ミネラル食品をつめた弁当を1時間で530,064個パックしました。このお弁当は、ハイチの首都ポルトープランスにある孤児院に配られました。
★ワクチンキャンペーンのために24時間で集めた寄付金最多額(Most money raised in 24 hours for a vaccination campaign)
この記録の保持者はGoogleで、2015年10月に166,196ドルの募金をインターネット経由で集めました。病気で苦しむ世界中の子ども1人につき10ドルのワクチンが必要だったそうです。助かった子どもが沢山いたでしょうね。
慈善活動の記録というのは、心が温かくなりますよね。世界中のチャリティーに関するギネス世界記録に興味がある方は、“charity”や“donate”と検索窓にいれて調べてみてください。