BTS: 韓国で最も売れているアルバム

今年は2021年ーー。音楽番組で目にしないことがない中、BTSを知らない人はまれではないか。ここでは7人メンバーからなる韓国のヒップホップグループが残したギネス世界記録の功績を振り返る。

一覧に戻る

BTS-Bang-Bang-Con-The-Live-5-Credit-Big-Hit-Entertainment.jpg

BTSのオンラインコンサート「BANG BANG CON The Live」にて

K-popは、世界の音楽シーンを大きく変えてきた。Shinee や Stray Kids などの人気も止まることを知らないし、K-popの功績をさかのぼると、PSYの「江南スタイル」はYouTubeで初めて10億回再生されたミュージック・ビデオとしてギネス世界記録に更新している。

ジン、シュガ、ジェイホープ、アールエム、ジミン、ヴィ、ジョングクの7人からなる韓国のグループ、BTS(防弾少年団)は、そんなK-popをグローバル化が進む音楽業界でさらなるステージに飛躍させた。

ヒップホップグループとしてスタートしたBTSだが、あらゆるミュージック・スタイルを取り入れ、各国のファンたちを共鳴させるリリックとメロディーを紡いでいる。そしてメンバーは現在でも制作に携わっている。

何年もの経験、そしてARMYと共に韓国国内での成功を収めると、今度は世界で、彼ら自身のみならずK-pop全体にスポットライトを照らすまでの驚異的な成長を遂げた。

記事執筆時、BTSはなんと23のギネス世界記録を保持していて、ギネスワールドレコーズ史上もっとも記録を獲得した音楽グループとなっている。

彼らによる記録更新は、これで途絶えるとは到底考えられない。今後も作品を出し続け、ARMYはもちろん、多くの音楽ファンを魅了し続けるだろう。

 

BTSの前進

7人のメンバーの歌声にのせた、心から来るリアルな歌詞(愛の難しさ、社会の問題や、大人に成長することになどを描写)が、アップビートなリズムと圧倒的なダンスと重なり、多くのファンの心を動かし続けている。

一見ポップな印象を受けるリスナーもいるかもしれないが、ラップなどのカルチャーを取り入れているメンバーもいる。
例えば2020年、シュガはAgust D名義で「Daechwita」をリリース。伝統的な軍隊行進曲からインスピレーションを受けたラップソングだ。

外から見ると彼らは洗練されてプロフェッショナルに見えるが、何時間も笑い合い、秘密の合図を交わしたりして分かったのは、身なりの良い名演技に隠されているのは、音楽とメンバーとファンを愛する人たちだということだ。

– Halsey, singer and songwriter, for Times 100 

BTSの国際的な活躍は、一夜で成し得たものではない。 

2010年、BTSはBig Hit EntertainmentのCEO、パン・シヒョクの目に留まった。グループの将来を描くにあたり、パン氏はコンテンポラリーなポップ・サウンドにしていこうと考えた。その意図について、パン氏はこう語っている。

言葉を一つも発せずとも、ティーンエイジャーに肩を貸すようなヒーロー(を創るため)


2013年6月12日、BTSはシングルアルバム「2 Cool 4 Skool」で正式デビューする。

これはアルバム3部作「School Trilogy」をスタートさせ、それは第2部となる「O!RUL8,2?」(2013年9月)に続く。そしてEP「Skool Luv Affair」(2014年1月)が(当初は)3部作のフィナーレを飾った。彼ら初となるスタジオアルバム「Dark & Wild」も「School Trilogy」の世界観を延長するようなものだった。これらの成功をきっかけに、次は初となる日本でのアルバムをリリースした。


そして2015年にはグループ初となる海外ツアー「Japan Tour 2015 Wake Up: Open Your Eyes」に臨んだ。

BTS-2-Cool-For-Skool-Youtube

日本での活動は、世界でのステージへの道のりのための重要な一歩だった。 

スタイルが確立し人気が増していくにつれ、BTSは若さの美しさともろさに注目を向けるようになった。 

するとアジアを皮切りに、BTSのサウンドや世界観がひろがっていった。音楽には国境はないと言われるが、BTSの人気度や彼らの美学や歌詞は、まさに国境を越えて世界各国で認識されるようになったのだ。 

そして常に強い絆で結ばれているARMYの輪も大きく広がっていった。 

BTS-Map-Of-The-Soul-Dark-Credit-Big-Hit-Entertainment.jpg
Credit: Big Hit Entertainment

 

音楽が壁を突き破る瞬間

 

2016年にリリースされたアルバム「Wings」は、メンバー一人ひとりの強みを出すトラックがあった。The Rolling Stones や Fuseといった雑誌に高く評価され、韓国のグループとして初めてアメリカのBillboard Social 50にトップにランクインした。グループがアメリカで最も権威のある音楽チャートのトップ常連になるのは、ここがスタートだった。

テレビやポッドキャスト、SNS、新聞や雑誌など、BTSを語らない媒体は見つからなくなった。そして2017年、彼らは12か国をまわる初めての世界ツアーを実行した。 

2017年はBTSにとって国際的な地位を確実に得た年と言っても過言ではないのではないだろうか。その後、ミュージシャンのスティーヴ・アオキザ・チェインスモーカーズとのコラボレーションが行われ、Jawsh 685とJason Deruloとのコラボで生まれた「Savage Love」は、今やTikTokで大人気だ。


チャートのトップを維持し続けてきたBTSは、2014年、初めてグループとして渡米し、世界最大級の韓国カルチャー・フェスティバル「KCON」に出演した。スティーヴ・アオキとのコラボ曲「Mic Drop」は、アメリカでプラチナ認定を受けた。これは韓国のグループとしては初の快挙であった。

欧米では、K-popファンのコミュニティーはかつてからオンラインが主だった。しかしBTSが音楽業界を揺るがし、オンラインで"革命"ともいえるファンの活動は、ARMYの存在あってこそと言えよう。 

BTSの活動は音楽にとどまらない。2018年には映画「Burn the Stage: The Movie」をリリースし、その後計4つの映画作品をリリースする。直近の「Break the Silence: The Movie」(2020)は2021年5月にMTV授賞式で「ベスト・ミュージックドキュメンタリー」に選ばれた。

アルバム、ツアー、映画のほかにも、いくつかのテレビ・シリーズの出演も果たしており、15話からなるウェブ・ショーにも出演している。30話からなるWeverseの「Learn Korean with BTS」では韓国の文化と言語を伝えた。 


BTSはアメリカで人気の番組ーージェームズ・コーデンの「カープールカラオケ」や、ジミー・キンメル・ライブ!、エレンの部屋ーーに出演し、グラミー賞やアメリカズ・ゴット・タレントなどでもパフォーマンスを披露した。 

そして2019年にはTIME 100の最も影響力のある人100人に掲載された。 そこで彼らは「ポップの王子」と称された。 


翌年、Variety詩はBTSを「Group of the Year」に命名し、2020年にはForbesがグループを「エンターテイナー・オブ・ザ・イヤー」に選んだ。さらにMTV Video Music AwardsをデビューしたBTSは、4つの賞を獲得した:  

- 最優秀グループ
- 最優秀ダンス  
- 最優秀ポップ 
- 最優秀K-pop 

これらの活躍によって、BTSはさらなる快挙を遂げた。アジアのみならず英語圏においても、7人グループのアップビートなメロディーと驚きの振り付けに釘付けになるようになったのです。  


BTSが初めてニューヨークのタイムズスクエアの「Dick Clark's New Year's Rockin' Eve」でパフォーマンスを行った時の様子


BTSが達成したギネス世界記録 ー音楽ー


記録タイトル数値達成日
First K-pop act to reach No.1 on the US albums chart
US albums chartで初めて1位を獲得したK-popアーティスト

1位2018年6月2日
First K-pop act to reach No.1 on the US Artist 100
US Artist 100で初めて1位を獲得したK-popアーティスト

1位2018年6月2日
First K-pop group to reach the Top 10 on the US singles chart
US singles chartで初めてトップ10に入ったK-popグループ

1位2018年6月2日
Highest annual earnings for a K-Pop band (current year)
K-popグループによる最高年収(当年度)

5,000万ドル
2020年6月1日
Most viewers for a music concert live stream on a bespoke platform
カスタムメイドのプラットフォームでライブストリームされた音楽コンサートの最大視聴者数

756,0002020年6月14日
Most tickets sold for a livestreamed concert (current year)
ライブストリームされたコンサートの最多チケット販売数(当年度)

756,000枚2020年6月14日
Most weeks at No.1 on Billboard’s Social 50 chart
ビルボードのソーシャル50チャートに1位でランクインした最長期間

189週2020年8月1日
Most "daesang" ("grand prize") awards won at the Mnet Asian Music Awards
Mエムネット・アジアン・ミュージック・アワードでデサン(大賞)の最多獲得数

132020年12月6日
Best-selling album in South Korea
韓国で最も売れたアルバム

4,440,818枚2021年3月1日

Most Nickelodeon Kids' Choice Awards won by a music group
音楽グループによるニコロデオン・キッズ・チョイス・アワードの最多獲得数

52021年3月13日
Most weeks on the US Hot 100 by a K-pop track
K-popトラックによるUS Hot 100にランクインした最長期間

32週2021年4月10日
Most weeks at No.1 on Billboard’s Digital Song Sales chart
ビルボードのデジタル・ソング・セールス・チャートに1位でランクインした最長期間

18週2021年4月10日
Most streamed act on Spotify (group)
Spotifyで最もストリームされたアーティスト(グループ)
16,300,000,0002021年4月27日


BTSの人気は、韓国文化の再注目にも火をつけた。K-popのみならず"K-culture"に興味を持つ人が増え、韓国のファッションやメイク、ドラマに目を向けるようになったのだ。韓国が、トレンド発信地のひとつとなったのだ。

BTS-Map-of-the-soul-black-backround-credit-big-hit-entertainment 

BTSの功績や称賛、出演内容や受賞内容をここで網羅するのは、あまりにも膨大で困難だ。彼らがやり遂げてきた"リスト"は延々と続いており、今なお書き足されている。  

そして多くのアーティストが生涯をかけて達成するようなことも、BTSはわずか数年で成し遂げている。 

文化の壁、言語の壁、音楽業界の壁……BTSはこのような困難を乗り越え、世界中の人々を彼らの作品でひとつにしてきた。彼らはこれからも、私たちに多くのインスピレーションを与え続けるだろう。 


BTSが達成したギネス世界記録 ーSNSー


記録タイトル数値達成日
Most Twitter engagements (average retweets) for a music group
最もエンゲージした音楽グループのツイッターアカウント(平均リツイート)

 422,228
2019年4月29日
Most Twitter engagements (average retweets)
最もエンゲージしたツイッターアカウント(平均リツイート)

422,228
2019年4月29日
Fastest time to reach one million followers on TikTok
TikTokで100万フォロワーを獲得した最速タイム

3時間31分2019年9月25日
Most viewed YouTube video in 24 hours
24時間で最も再生されたYouTube動画

101,100,000回2020年8月22日
Most followers on Instagram for a music group
音楽グループによるInstagramの最多フォロワー数
40,220,2262021年4月22日
BTS-Bang-bang-Con-Selfies-Credit-Big-Hit-Entertainment


2020年開催の「Bang Bang Con」でセルフィーを撮るBTSメンバーたち 

BTS-Fans-Cheering-from-Shutterstock


高いメディアプレゼンスを誇るBTSメンバー、いつでも声援を送る準備ができているARMYたち

数多くのギネス世界記録を更新しているBTSだが、彼らが2019年に更新した「音楽グループによる最も高いTwitterエンゲージメント(平均リツイート)|the most Twitter engagements (average retweets) for a music group」は、なんと彼ら自身で4回も記録を更新している。

初めて更新したのは2017年で、エンゲージメントは152,112だった。  

BTSのアカウント – @bts_bighit, @bts_love_myself and @BTS_jp_official – は2019年4月29日時点で合計422,228エンゲージメントを獲得している。  

最もストリーミングされたトラックは2つのシングルだ。1つは英語初のシングル「Dynamite」(8億2,970万回)。そして2つ目の「Boy with Luv」はYouTubeで13億回以上再生されている。 


However, in May 2021, their single “Butter” became the band’s most recent success to snatch a clutch of world records.  

“Butter” is the most streamed track on Spotify in the first 24 hours, and marked the 23rd Guinness World Records title set by BTS – a mind-blowing number, especially considering the band's young age. 

In total, with its upbeat rhythm and lush lyrics, “Butter” snatched five world records – and, to quote, we can say it was a success ‘smooth like butter’. 


BTSの「Butter」が更新したギネス世界記録


記録タイトル数値                                                                                           達成日
Most streamed track on Spotify in the first 24 hours
公開後24時間で最もストリームされたトラック
11,042,335 streams21 May 2021
Most viewers for the premiere of a music video on YouTube
YouTubeプレミア公開ミュージックビデオの最大視聴者数
3,900,0002021年5月21日
Most viewers for the premiere of a video on YouTube
YouTubeプレミア公開動画の最大視聴者数
3,900,0002021年5月21日
Most viewed YouTube music video in 24 hours
24時間で最も再生されたYouTubeミュージックビデオ
108,200,000回2021年5月22日
Most viewed YouTube music video in 24 hours by a K-pop group
K-popグループによる24時間で最も再生されたYouTubeミュージックビデオ
108,200,000回2021年5月22日


「ミュージックビデオのYouTubeプレミア公開における最大ビュワー数|most viewers for the premiere of a music video on YouTube」についてはまず「Dynamite」が記録を更新。
その後のシングル「Butter」はそれをさらに上回ることに成功。BTSがSNSで強い認知度を得ていることが見て取れる。  

前記録保持者は、ジャスティン・ビーバーとエド・シーランの「I Don't Care」(64,946ストリーム)。その前の記録はテイラー・スウィフトの「Look What You Made Me Do」だ。


2021年4月27日現在、BTSのトラックはSpotifyで163億回ストリーミングされ、「Spotifyで最もストリームされたグループ|the most streamed group on Spotify」を更新した。この記録は長らくの間、イギリスのバンド、Coldplayが保持していた。 

BTSのTwitterには3,800万近くのフォロワーがいる。最新シングル「Butter」は2021年7月にBillboard Hot 100のトップにランクインした。そして彼らはTwitterの絵文字になった唯一のK-popグループとなっている。 

2013年のデビュー以来、多くの成功を収めてきたBTS。彼らは音楽界のルールを大きく書き換えた。 

やはりその中で最も驚異的なものの1つは、韓国の言語や文化に慣れ親しんでいない人々にもリーチしながら成功を収めてきたことではないだろうか。  

文化の壁をものともしないパワーを持ったメロディー、ダンス、リリックを通じて、生き生きとしたピュアな発信ができる彼らのスキルこそが、「ポップの王子」という命名につながったのであろう。  

しかしBTSの文化的インパクトは音楽のみ、そしてポップの世界のみではない。 



Love Myself」キャンペーンは、BTSとUNICEFがパートナーシップを組んで作られたものだ。同ウェブサイトのデータによると、子どもやティーンエイジャーの暴力に対抗するこのムーブメントは広がっていて、#BTSlovemyself のハッシュタグは記事執筆時点で11,811,497回となっている。

そして2018年、韓国文化を拡散させたとして、BTSは花冠文化勲章を受章した。これはメンバー1人ひとりに与えられた。 

史上最年少の受賞で、文化大使として認められたこととなった。 



タレント性や親和性、ファンによる力強いサポート、そしてプロ意識と社会問題等への取り組み……これらが、今までK-popが触れてこなかった場所を切り開くこととなった。 

BTSの7人のメンバーたちの将来はさておいて(さらに記録を更新し続けることは間違いないが)ポップ文化における彼らのレガシーはすでに歴史に深く刻まれたのだ。

それはまさに「bulletproof」なことだ。

BTS-Map-of-the-soul-white-suit-credit-big-hit-entertainment

BTSのMV「Dynamite」は複数のギネス世界記録を達成したが、新作の「Butter」でそれらを更新した

Bang-Bang-Con-Live-With-Umbrella-Credit-Big-Hit-Entertainment
Bang-Bang-Con-Live-Red-background-Big-Hit-Entertainment
BTS-holding-certificates

BTSは、2021年11月発売の書籍「ギネス世界記録2022」にも掲載されています。