1958年7月29日に設立されたNASA(アメリカ航空宇宙局)。2018年は記念すべき60周年目を迎えました。さらに2019年は、人類で初めて月面に降り立ってから50周年を迎えます。
そこでギネスワールドレコーズは、NASAが達成したギネス世界記録を通じて、その功績を振り返ります。
1966:2機の宇宙機による、史上初のドッキング
1966年3月16日、デイヴィッド・スコットとニール・アームストロングが操縦するジェミニ8号が、アジェナ標的衛星とのドッキングに成功しました。両宇宙船は地球から270 km離れた場所で、何千kmもの旅を経た後ランデブーしました。
史上初となる出来事でしたが、推進器の異常で宇宙船が回転してしまう事態が発生。アームストロングは宇宙船の制御を試みるも、燃料不足もありミッションを中断し、緊急着陸を行いました。
1967:最大のロケット
宇宙飛行士を月まで送ることを目的に作られたロケット、サターンV。高さは自由の女神像より高い110.6 mで、給油後の重さは、2010年に初打ち上げされたファルコン9の5倍の重さである、2,965 tもある巨大ロケットでした。初飛行は1967年11月6日で、なかには無人のアポロ4号が搭載されていました。
1969:人類初の月面着陸
ニール・アームストロングが月面に降り立った1969年7月21日。人類史上に残るその一歩は、何年にも及ぶ準備と努力の賜物でした。
アポロ11号の航海においては、「燃料残量が最も低かった月面着陸|Least amount of fuel left on a moon landing」など、複数もの記録が樹立されました。ニール・アームストロングとバズ・オルドリンは21時間月で過ごし、アメリカ合衆国の国旗を立て、いくつかの化学実験を行いました。
1972:月面においての最速記録
アポロ計画が終わりに向かうなか、NASAは最後の月面活動でできるだけの成果を得ようと心がけました。
宇宙飛行士のユージン・サーナンとハリソン・シュミットは、22時間の月面活動を行い、LRV(月面車)で約35.9 kmの距離を走行しました。 月面を出発する2日前、「シャーロック」ブロック付近の丘をLRVで走行していたところ、LRVで最高時速18 km/hを記録したと、サーナンとシュミットは報告しています。
1973:宇宙における最も大きな部屋
発射当時、スカイラブは最も大きな宇宙ステーションでした。現在は国際宇宙ステーションが最も大きなものとなっていますが、スカイラブのOrbital Workshopと呼ばれた実験室は、宇宙に設置された最も大きな部屋の記録を保持し続けています。サターンVの第三段燃料タンク内で作られ、その長さは14.7 m、幅は6.6 m でした。
1976:火星への着陸に初めて成功した探査機
探査機を火星に着陸させるのは、ロケット科学的にもハードルが高いもの。初めて火星に着陸した探査機は、ソビエト連邦のマルス3号(1973年)でしたが、原因不明の不具合で、探査機の送信が20秒で途絶えてしまいました。
火星に着陸し、ミッションを行うことができた初の探査機はバイキング1号。1976年7月20日に火星に着陸すると、その後6年間画像や科学データを送信し続けました。
1981:史上初の再度利用可能な宇宙船
1981年4月12日、スペースシャトル「コロンビア」の初飛行が行われ、アポロ計画で活躍した宇宙飛行士のジョン・ヤングとルーキーのロバート・クリッペンが操縦を担当しました。
2日間のテストミッションを終えた後、軌道から外れエドワーズ空軍基地の滑走路に着陸。オービタは修復され、同年にまた発射されました。
1985:1機の宇宙船内に乗った最大人数
「スペースシャトル」は、以前の宇宙船より大きく、より多くのクルーを乗せることができるのが特徴の1つでした。1985年10月30ニチイ、シャトル・ミッションSTS-61-Aは、アメリカのクルー6名、欧州宇宙機関のクルー2名(ドイツ人とオランダ人)を乗せ、記録を達成しました。
この記録はロシアの宇宙ステーション「ミール」に13人のクルーが乗ったことによって更新。2009年7月14日には、同じく13人のクルーが国際宇宙ステーションに乗ったことで、タイ記録が達成されました。
1990:最大の宇宙望遠鏡
ハッブル宇宙望遠鏡は、何年もの遅れや開発の問題などを経て、1990年4月24日にスペースシャトル「ディスカバリー」に搭載され、宇宙へと向け発射されました。
重さ11.1 t、長さ13 mを誇るこの望遠鏡は、宇宙に設置された最も大きな望遠鏡で、この記録は数年後に設置が予定されているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が稼動するまで更新されることはないでしょう。
数多くの記録的な発見をし続けてきたハッブルは、最低でも後10年間は稼動し続けるだろうと言われています。
1997:マーズ・ローバー
マーズ・パスファインダーのミッションは1997年7月4日、Ares Vallisと呼ばれたエリアに着地しました。翌日、ソーラーパネルを稼動させ、犬の大きさのローバー「ソジャーナ」が放たれました。
7 sol(火星太陽日=火星の1日)分のミッションが行えるよう設計されたこのローバーは、83 sol もの間火星を探査し続けました。
2005:最も遠い惑星面着陸
NASAとESAは2005年1月14日、無人の小型探査機「カッシーニ」は、ホイヘンス・プローブを、太陽から14億 km 離れた土星の衛星タイタンに投下しました。
プローブからは画像やデータをカッシーニに送信し、それらは地球に転送されました。送られた画像には、メタンの海や氷の地表などが映されていました。カッシーニは13年76日の間土星を回り、外惑星における軌道観察では最も長いものとなりました。
2011:最大の宇宙ステーション
国際宇宙ステーションの製造は、1998年11月、ロシアのモジュール「ザーリャ」が打ち上げられたところから始まりました。翌年、アメリカのモジュール「ユニティ」と接続しました。
2011年3月1日、多目的補給モジュール「レオナルド」が接続されると、宇宙ステーションの与圧体積は916 m^3 に。サッカーフィールドと同等サイズのソーラーパネルで電力を確保しています。
2015:宇宙飛行士 最多志願者数
2015年12月にスタートした宇宙飛行士グループ22の志願者募集では、18,300件の申請があり、1978年の宇宙飛行士グループ8の志願者募集で達成された記録8,000を破り、ギネス世界記録を更新しました。集まった志願は厳密な審査を経て、12人までに絞られました。新しい宇宙飛行士たちの名前は2017年6月8日に発表されました。
超音速のジェット機を操縦したり、ロボットを操作したり、ロシア語を習うなどのトレーニングを完了した12人は、国際宇宙ステーションへのミッションに臨みます。さらにはオリオンなど、今後に予定されているNASAの計画に携わる可能性もあります。