Max Park holds multiple Rubik's Cube records

マックス・パークさんは、複数のギネス世界記録を保持するルービックキューブ早解きの達人。4x4x4から7x7x7のルービックキューブの早解き記録のみならず、片手でルービックキューブを解いた最速タイムの記録なども持っています。そしてマックスさんは生まれつきの自閉症。世界自閉症啓発デーにあわギネスワールドレコーズはマックスさんの両親、ショーンさんとミキさんにインタビューを行い、ルービックキューブがマックスさんにもたらしたものについて伺いました。

ルービックキューブに注目したのは、ルービックキューブ自体に興味を持ったからではなく、マックスの自閉症でした。

彼が幼かった頃はあらゆる療法を常に探していました。自閉症は、対人関係や社会性に対する療法が必要で、対人関係をするためには、相手が必要です。そのきっかけを探しているなかで、ルービックキューブに出会ったのです。

当時マックスは、細かい運動スキルを持ち合わせていませんでした。水のボトルを開ける事ができなかったので、スキルを上げる方法を探していた時に、自宅にルービックキューブがあって、それにマックスも興味を示していました。 

ルービックキューブの大会に出させて、そこで列に並んで、順番を待って、誰かの目を見て「準備できた」と言えるようにしてもらおうと思いました。これができれば大きな事です。自閉症においては心の理論が課題なので、これをたくさん練習する必要があります。ルービックキューブ自体のスキルは後付けです。実は考えてもいませんでした。それは重要な事ではなかったですから。

ルービックキューブでの勝利

2度目に出場した大会でマックスが勝利した時、かなり驚きました。MITやカリフォルニア工科大学を卒業した人たちを相手に、10歳の少年が勝つなんて、何かの間違いなのではと思ってしまいました。ましてやそこから世界記録を更新したり、スポンサーがついて世界中を飛び回るなんて考えてもいませんでした。 

Max Park Rubik's Cubes young 

大会で優勝した時、マックスは表彰状をもらうと、彼は周りの人を見ながら表彰状の向きをみんなと同じようにしていたのを今でも覚えています。このエピソードを、自閉症を持っている親に伝えたら宝くじに当たったと返すと思います。周りに合わせて波長を合わせた事……それが私たちにとっての"勝利"だったのです。

マックスがルービックキューブを始める頃と同時に変化があったのは、言葉です。誰かと話をしたいと思うようになってきたのです。大会に行くと、そこにいる人たちは同じ事に興味を持っている事が分かります。彼らと会話がしたくなって、それがきっかけで話すスキルが上達しました。

Max Park Rubik's Cubes

パリで世界選手権を制したのは重大な出来事でした。でも一番印象に残っているのは、マックスが初めて1位になった時です。たった10歳で、6x6x6のルービックキューブの大会に勝ったのは驚きでした。もう1つは、彼が3x3x3のルービックキューブを解いた最速平均タイムの記録を更新した時。その日マックスは体調を崩していたので、なおさら驚きました。スポンサーの話が来たのも記録更新がきっかけでした。

ルービックキューブのコミュニティ

ルービックキューブ界の人たちは、マックスを受け入れただけではなく、大きな家族の一員として接しました。療法を始めた当初は時間もお金もかかりました。何かを指し示すだけでもプロや専門家を雇いました。その難しい事を、ルービックキューブ界の人たちが自然と引き受けるようになったのです。World Cube Associationとそこにいるコミュニティはもう家族そのものとしか思えません。

Max Park competition 

こんなにユートピアな環境は今まで体験した事がありませんでした。例えば審判が解いたタイムを間違えて記入した時、対戦相手が「間違ってますよ、私のほうが2秒遅い」と言ったりして、真面目なんです。公平でありながらも、競争は激しいです。みんな1位になりたいと。でも闘っているのは相手ではなくて、過去の自分なのです。相手の状況に興味を持って、2位の人は1位の人の勝利を心の底から喜ぶ……そんな特別な場所です。 

マックスさんがもたらしたもの

マックスは、自分の人生観に最も大きな影響を及ぼした人です。成功とは何かと言う問いを、根底から考え直させられました。良くある成功の鍵と言えば、朝早く起きてやる事を片付けて、やる事リストや目標を設定するとか。マックスが教えてくれたのは、それが全てではないと言う事。

Max Park and Patrick Ponce

マックスは定量的に有限である感覚が好きで、ルービックキューブも4,000京通り以上の配置がありますが、有限だから好きなんです。あと、データや、数字に関わる事なら何でも。

100回解いたアベレージ(AO100)をルービックキューブ界で流行らせたのもマックスです。世界選手権に出て彼が他の参加者にその話をすると「何の話?」と返されていました。でも今はそれがスタンダード。マックスの影響で、みんなの考え方が変わったのです。マックスのモットーは「考えるな、解け」。家でリラックスしながらやれば上手に解けても、大会ではスピードが遅くなるのは精神的な事だと思ったマックスは、そのモットーを思いついたんでしょう。解き方は分かってるから、手の導くままに動けばいいと。

Max Park parents

彼が7x7x7の世界記録を塗り替えたのも驚きでした。当時の記録は2分をちょうど切ったくらいだったのに、1分47秒まで記録を更新したんです。Erik Akkersdijkなど、ルービックキューブ界の大物たちも「こんな凄い事は今まで見た事はない」と言ったほど。この記録が更新されるのは当分ないんじゃないでしょうか。マックスの世界記録更新の数々は本当に驚きで、「誇りに思う」という言葉では片付けられないのです。

Max Park 6x6 Rubik's Cube

Max Parkが保持しているギネス世界記録

  • ルービックキューブを片手で解いた最速平均タイム - 9.42秒
  • 4x4x4のルービックキューブを解いた最速タイム - 18.42秒  
  • 4x4x4のルービックキューブを解いた最速平均タイム - 21.13秒 
  • 5x5x5のルービックキューブを解いた最速タイム - 37.28秒 
  • 5x5x5のルービックキューブを解いた最速平均タイム - 42.36秒 
  • 6x6x6のルービックキューブを解いた最速タイム - 1分13.82秒 
  • 6x6x6のルービックキューブを解いた最速平均タイム - 1分17.1秒 
  • 7x7x7のルービックキューブを解いた最速タイム - 1分47.89秒 
  • 7x7x7のルービックキューブを解いた最速平均タイム - 1分51.63秒