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ギネスワールドレコーズは、「存命中の最高齢男性|Oldest person living (male)」としてギネス世界記録に認定されておりました渡邉智哲氏が、2020年2月23日に亡くなられたことを確認いたしました。渡邉氏のご冥福をお祈り申し上げると共に、ご遺族に対し、心よりお悔やみ申し上げます。

新潟にお住いの渡邉智哲(わたなべ・ちてつ)さんが、112歳344日で「存命中の最高齢の男性|Oldest person living (male)」に認定されました。

この記録は、北海道の野中正造(のなか・まさぞう)さん(1905年7月25日生まれ)が2019年1月20日に亡くなったのを受けて調査が開始され、このたび認定の運びとなりました。

ギネスワールドレコーズは、智哲さんが現在暮らしている介護老人保健施設「保倉の里」を訪ね、公式認定証を贈呈しました。

サトウキビ園にて記念写真に写る智哲さん(中央)

智哲さんは1907年3月5日生まれ。県立高田農学校(現県立高田農業高)を卒業すると、農家だった両親から、家で農業をするように言われたそうです。まだ20歳だった智哲さんは両親に「3年だけやらせてくれ」と、台湾に渡航。そのまま18年、日本に帰国する事はありませんでした。台湾では大日本明治製糖の社員として、サトウキビの植え付け契約などを行っていました。

台湾在住中に、智哲さんは結婚をし4人の子どもを授かり、また1944年には、太平洋戦争に従軍しました。

智哲さん出征記念写真

終戦とともに故郷である新潟の東頸城郡浦川原村横住(現・上越市浦川原区)に帰郷した智哲さん。新潟県庁の出先機関である農地事務所にて、定年まで勤務しました。1947年には5人目の子どもを授かりました。

1972年には長男の哲雄さんが新しい家を建て、それに伴い智哲さんもそこに同居する事に。哲雄さんの妻、洋子さんによると、定年後はその家の畑仕事に時間を費やしていたそうです。「家に30坪くらいの畑があって、なんでも育てていましたよ。ジャガイモ、トマト、ナス、キュウリ、白菜、大根、などなど。イチゴ畑もありました。あと生り物が好きだったみたいですね。ゆずや梅、プルーンとか……。それの手入れや取り入れや加工などで、結構忙しくしていましたね。」

こういった野菜作りを、智哲さんはなんと104歳まで続けていたとか!

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智哲さんは趣味の盆栽にも力を注ぎました。家には多いときは100鉢以上の盆栽が並んでいたそうで、施設に入所する前まで盆栽いじりを続けました。そして100歳まで上越市のシニア展にて盆栽の展示をしていたそうです。

上越市のシニア展にて(2005年、当時の上越市長と老人会長と共に)

現在では介護老人保健施設「保倉の里」で暮らしている智哲さん。去年の夏までは、新聞を読んだり習字をしたり、趣味などをしていたそうです。好きな食べ物は甘いもので、以前は黒砂糖を使ったものを特に好んでいましたが、噛むのが難しくなった現在ではプリンや、シュークリームの中のクリームなどを良く食べるそうです。

洋子さんによると、智哲さんは「長寿の秘訣は笑って暮らす事」だと、最近良く口にしていたと言います。

確かに父自身が大声を出して怒ったりした事は一度もないですよ。そして気配りがあるんですよ。例えば私が趣味でパッチワークを始めて、作品ができると一番ほめてくれました。長男、夫婦、子どもといつも大家族で暮らしてきました。ひ孫の世話をいつもにこにこしてやっていたし、家族一緒になって畑仕事とかを喜んでやっていました。それがあったから、笑って暮らす事ができたんだと思います。

智哲さん、ギネス世界記録認定おめでとうございます!