日本人宇宙飛行士の野口聡一さんが、ギネス世界記録「2つの船外活動における最も長いインターバル|longest time between spacewalks」に認定されました。
野口さんは、国際宇宙ステーション第64/65次長期滞在クルーとして2021年3月5日に船外活動を実施。前回の船外活動は2005年8月3日だったため、今回行った船外活動との間の期間は、なんと15年214日にもおよびます。
2005年、野口さんはSTS-114に参加。STS-114はスペースシャトル・コロンビアの事故後初の「飛行再開」ミッションで、野口さんは船外活動を実施し、シャトルの修理試験や、国際宇宙ステーション(ISS)のパーツ交換などの作業を行いました。
それから15年以上の時を経て再び船外活動に取り組んだ野口さん。長期のインターバルがあっても船外活動メンバーに選ばれた理由について、野口さんは「長期に及びスキルを維持し、船外活動を任命されるための健康状態を保持していたこと」と説明しました。
今ではベテランの宇宙飛行士で、宇宙探検家協会(ASE)会長をも務める野口さんですが、宇宙へ強く興味を持ち始めたのは、スペースシャトルの初飛行をみた10代になってからだったそう。
そして12人の宇宙飛行士が宇宙について語るノンフィクションを読み、ついに宇宙飛行士の道を目指すようになったのです。
その後野口さんは東京大学で工学部航空学を専攻。卒業後は超音速旅客機のエンジン開発に携わりました。1996年に宇宙飛行士候補者に選ばれ、それから9年後の2005年、ついに宇宙へと飛び立ちました。
船外活動に携わらなかった2005年から2021年の期間にも、野口さんは2回宇宙に行っています。1つは2009年12月21年から2019年6月1日、ISS第22次/第23次長期滞在。もう1つはスペースX Crew-1ミッション(宇宙船クルードラゴン初の有人運用飛行)でした。3機の異なる宇宙船(スペースシャトル、ソユーズ、クルードラゴン)で宇宙に行った宇宙飛行士は、現時点では野口さんのほかに2人しか存在しません。
船外活動の数日経った2021年3月7日、野口さんは宇宙からツイッターに投稿。自身の船外活動歴が世界記録になるのか、ギネスワールドレコーズに「問い合わせ」を行ったのです。
NASAから新しい記録になる可能性が高いと聞いたので、あらゆる世界記録に関して最も信頼性のある@GWRに聞いてみようと思ったんです。
Dear Guinness World Records, would you certify my new world record: 'the longest interval between two consecutive spacewalks by the same person-15 years & 7 months''? @GWR@NASA_Astronauts@nasa@JAXA_en
— NOGUCHI, Soichi 野口 聡一(のぐち そういち) (@Astro_Soichi) March 6, 2021
審査を経て野口さんの記録が登録されると、ギネスワールドレコーズはデジタル版の公式認定証を宇宙に届けることができました。
ロシアの宇宙飛行士、セルゲイ・クリカレフの記録を更新することができとても光栄で、感謝しています。[宇宙でギネス世界記録の公式認定証を受け取るのは]面白くてクリエイティブだと思いました。このアイディアを考えてくれたクレイグさんにも感謝したいです。
今回の記録認定について、ギネスワールドレコーズ編集長のクレイグ・グレンディは「宇宙飛行士と語るのはいつも刺激的で、今までにも何度か公式認定証を渡す機会がありました。しかし、宇宙にいる宇宙飛行士に認定証を贈呈できたのは初めてです」と語りました。
「地球から400 km以上離れた場所でのやり取りだったので、これは最も高度差のあるギネス世界記録公式認定証の贈呈式とも言えるでしょう。」
最後に、大きな夢を持つ人たちに向けてメッセージをお願いすると、野口さんはこう答えました。「夢を決して諦めないで、高みを目指して、常にポジティブでいてください!」