harnaam kaur close up

イギリスのハーナーム・カウルさんは「(顔面の髭をすべて伸ばした)フル・ビアードの最年少女性」としてギネス世界記録に登録されています。2015年9月7日に認定された彼女の記録は24歳282日でした。

その後カーナームさんはフリーランスモデルやモチベーショナルスピーカーとして、個々の身体を受け入れ肯定的になるというメッセージを伝え続けています

現在は30歳のハーナームさん。ギネスワールドレコーズは彼女とのインタビューを行い、日常についてはもちろん、彼女の素敵なアイラインの引き方についても聞いてきました!

想像できるように、ハーナームさんはひげについて、いら立たせるような無神経な質問を投げかけられることが多いそう。聞き飽きたことについて問うと、ハーナームさんはこう答えました: 

「それは確実に"なんでひげを生やしてるの"です。たまに皮肉交じりに"なんであなたのお父さんはひげを生やしてるの"と返したくなります。それより"どうやって価値をたかめるか?あなたは自分の目的を見つけることができたけど、私はどうやって見つければいいの"と言った、もっと自己啓発に関わる質問を聞いてくれればいいのにと思います」 

ハーナームさんは彼女の身体の状態についてより多くの人に知ってもらうために、敵意や無知に対して正面から向き合うこともあるそうです。

私に対する恐怖の裏には、まだ答えられていない問いが隠れています。だから怖くなったり冷笑的になったりしてしまうのです。私と同じ症状を持つ人は多くいます。顔からひげが生える女性は未知のことではありません

harnaam kaur sitting on bench

ハーナームさんは12歳の時「多嚢胞性卵巣症候群」と診断されました。この症候群は世界で何百万もの人が持っています。

「多くの女性は顔にひげを生やしていますが"普通じゃない"ということで無視されています。私たちの身体にとっては自然のことなのにそれを笑われるのです」

ジェンダーに対するステレオタイプが、ハーナームさんを含むひげを生やす女性に対する扱いに大きな影響を及ぼしているとハーナームさんは考えます。 

「男性にあるのはいいけど女性だと笑われるのはおかしいと思います。なぜ私の身体のことを説明し続けなければいけないんですか?女性の身体は見張られているのです」

初めて私を見る時にショックを受けるのは分かります。でも人間は見た目以外のものがたくさんあります。私は常にたとえを使って説明します――地球が花を咲かせるように、私の身体は毛を作るのです

「外見は枯れていきます。私のひげもなくなりますが、私のメッセージは残り続けます」

彼女が発する強いメッセージや飾りのない態度があっても、現在の状態に到達するまでかなりの時間がかかったそうです。ハーナームさんは、自己愛と寛容は終わりのない旅だと言います。 

「前はジャージや兄弟の服を着て、女性であることを隠していました。今でも、他人からの面倒な反応に構っていられない時にやっています」

Harnaam kaur looking down

「"彼女はあそこまで到達したのね"と言う人もいますが、そんなことはありません。全く違います。今でも対峙しなければいけない問題を抱えているんです。自傷行為にも走た子どもの頃に戻りたくなるきっかけは、今でもたくさん起きます。あの頃は、私の声に耳を傾けてくれる人が必要でした」

ひげは普通のことをするのを阻害します。たまに鬱になったり不安になったりして、世界に出ていくことができなくなることもあります

彼女にとっての大きな転換点は、ニューヨークへの旅でした。WorldPride NYCに参加し、何千もの人の前でスピーチをしました。

「この外見で何千人からの声援を受けたのは、私にとって大きな出来事でした。"これからは自分のメッセージを発信できる"と感じました」

ハーナームさんの自己愛のメッセージの根幹にあるものは、"あなたはひとりではない"ということ。

「あなたはひとりではありません。いじめになやんでいても、自己肯定できなくても、自信がなくても、どんな状態でも」

ハーナームさんはどんな形であっても自身の美しさを受け入れるためのインスピレーションを与えています。彼女にとって、ひげを生やして良かったと感じるのは、周りには寛容な人しかいないことだと言います。

ひげがあるから、私の周りには良い人しかいません。私の周りにいる人はみんな偏見がなく物事を決めつけたりせず、愛情にあふれています

そしてハーナームさんは、モチベーショナルスピーカーとしての成果に誇りを持っています。

「やりたいことはまだたくさんありますが、今はとても幸せです。小さかった私はきっと今の私を見て"お姉さん、すごい"と感じるでしょう」

ハーナームさんは他にも月刊誌『コスモポリタン』及び『グラマー』の表紙を飾ったこともあります。

「想像してみてください。雑誌を広げても自分が載っていなかったところから、10年経ったら表紙を飾るに至る様子を」

ギネス世界記録認定から6年、ハーナームさんの人生は大きく変わりました。

ギネス世界記録はパワフルなプラットフォームです。本を広げれば、そこにはあらゆる外見を持ったあらゆる人による、あらゆる功績にあふれています。こんなに多様な世界を受け入れられずにはいられないではないですか。中を見てみれば一目瞭然です