高身長記録保持者の歴史~ジョン・ローガンからスルタン・コーセンまで~

By Vicki Newman
掲載日 令和06年12月10日
Illustration of the world's tallest peoplen ever

ギネス世界記録のICON、スルタン・コーセンさんが誕生日を迎えました。

「最も身長の高い男性|tallest man」であり、「存命中最も身長の高い人物|tallest person living」であるスルタンさんの年齢は42歳になりました。

トルコ出身のこの記録保持者は、246.5 cmという驚異的な身長を誇り、2009年以来、この記録は揺るぎないものとなっています。

スルタンさんは、ギネス・ワールド・レコーズによって20年以上ぶりに測定された8 ft(243.84 cm)以上の男性であり、歴史にその名を刻んだことは間違いありません。

Sultan with GWR Editor-in-Chief Craig Glenday

スルタンさんと書籍『ギネス世界記録』編集長のクレイグ・グレンディ

彼は、人生のある時点で、現存する人間の中で最も背の高い人物として知られている、非常に特別なグループの一人である。

驚くべきことに、スルタンは10歳になるまで平均的な身長であった。

彼の記録的な身長は、脳の下垂体からの成長ホルモンの過剰分泌によるものです。

スルタンさんは自身の高身長で世界的な名声を獲得しました。彼は、その知名度で自国の文化を広める活動を行っています。

世界にポジティブな影響を与え、人それぞれの個性を愛し、受け入れるべきだというメッセージを送っています。

そんな彼の誕生を祝うべく、書籍『ギネス世界記録2025』のページで紹介されている、歴代の高身長記録保持者を見てみよう。

Tallest people lined up in GWR 2025 book spread

もちろん、残存する資料が足りない事もあり、歴史をすべて遡ることは不可能ですが、特筆すべき点はなるべく多く取り上げようと思います。

それでは早速、1900年から始めましょう。

ジョン・「バド」・ローガン(1867-1905)

出身国:USA

身長:267 cm

記録保持期間:1900-05

ジョン・「バド」・ローガンは、史上2番目に身長の高い男性でした。

また、アフリカ系で史上最も身長の高い人物でもありますが、彼の実際の身長が明確になった事はないのではないでしょうか。

バドさんは、成長後は立つ事ができませんでした。なので彼の身長は、健康診断の際に座った状態で計測されたものから算出されました。

彼の身長の原因は巨大症とされました。バドさんは、合併症のため38歳で亡くなりました。

フョードル・マフノフ(1878-1912)

出身国:Belarus

身長:239 cm

記録保持期間:1905-12

イベント出演中はフョードル・マッハナウと名乗り、出演するイベントのプロモーターによって身長を"盛る"事が多かった。

彼はまた、大きな毛皮の帽子をかぶり、厚底のブーツを履いていたことでも知られています。

フョードルさんは、肺炎のため34歳で死去しました。

フレデリック・ケンプスター(1889-1918)

出身国:UK

身長:237 cm

記録保持期間:1912-18

ロンドンで生まれたフレデリックさんは、「イングリッシュ・ジャイアント 」あるいは 「ブラックバーン・ジャイアント 」として知られるようになりました。

8歳の時、父のジョセフさんが亡くなり、2歳の弟とともに母ジェーンさんによって孤児院に預けられました。

年齢の割に身長が低かった彼はカナダに送られ、15歳の時に先天性の膝の問題で靭帯に問題が生じ、脛骨が成長し、最終的に彼の記録的な身長につながりました。

フレデリックさんはサーカスの出演者に加わった後、ヨーロッパを巡業しました。29歳で死去。

バーナード・コイン(1897-1921)

出身国:USA

身長:254 cm (8 ft 4 in)

記録保持期間:1918-21

バーナードさんは、高身長のために陸軍への入隊を拒否されたと考えられています。

23歳で亡くなったとき、彼は巨大症で、まだ成長途中でした。

アルバート・クレイマー(1897-1976)

出身国:オランダ

身長:237.5 cm

記録保持期間:1921-33

サーカス団員時代、アルバートさんはしばしば 「ヤン・ファン・アルバート」と名乗り、「ロフティ」というニックネームで呼ばれていました。

彼はバラエティ・アーティストとして世界中で公演を行いました。

彼は先端巨大症と呼ばれる、体の一部が不釣り合いに成長する病気を患っており、7歳の時にはすでに200 cmあったと言われていました。

アルバートさんは1975年、血管と循環器の問題で、足の切断を余儀なくされました。その1年後、アムステルダムの老人ホームで78歳で亡くなりました。

ロバート・ワドロー(1918-40)

出身国:USA

身長:272 cm

記録保持期間:1933-40

ロバート・ワドローさんは、「史上最も身長の高い男性|tallest man ever」です。

「アルトンの巨人」あるいは「イリノイ州の巨人」とも呼ばれる彼は、成人後も成長し続けました。

脳下垂体の肥大によって引き起こされたもので、その結果、ヒト成長ホルモンが大量に分泌され、身長が伸び続けたのです。

彼は歩くのに装具を必要とし、足腰の感覚があまりなかったそうですが、車椅子を使うことはありませんでした。

ロバートさんは22歳の時、装具が足首を刺激して感染症を引き起こし、亡くなりました。

ヴァイノー・マイリリンネ(1909-63)

出身国:フィンランド

身長:251 cm

記録保持期間:1940-59

先端巨大症の巨人ヴァイノーさんは、「最も背の高い兵士|tallest soldier」でもあり、高身長記録の保持期間も19年間と、トップの座に君臨しています。

21歳の時点で身長224 cmだった彼は、30代で驚くべき第二の成長を遂げた。

フィンランド陸軍に従軍した後、養鶏場を経営。54歳で死去しました。

ジョン・キャロル(1932-69)

出身国:USA

身長:263.5 cm

記録保持期間:1959-69

ジョンは背骨が曲がっていたため、見た目の身長は、記録されている243.8 cmよりも低かったそう。

ニューヨーク州バッファローで生まれた彼は、しばしば 「バッファロー・ジャイアント」と呼ばれました。

生年月日は記録されていないため、死亡時に36歳だったのか37歳だったのかは分かっていません。

ドナルド・コーラー(1925-81)

出身国:USA

身長:248.9 cm

記録保持期間:1969-81

Donald with GWR's original editors Ross and Norris McWhirter

モンタナ州生まれのドナルドさんは巨大症でしたが、実は双子で、妹は175cmと平均的な身長でした。

彼は25年間セールスマンとして働き、見込み客がいつも彼に会いたがり、彼のことを覚えていてくれるので、身長の高さは大きなアドバンテージになったとか。

後年、背骨が湾曲する後弯症を発症。彼は心臓の病気で55歳の若さで亡くなった。

曾金蓮(1964-82)

出身国:中国

身長:246.3 cm

記録保持期間:1981-82

女性として初めてこのリストに入った曾さん。彼女は今なお「史上最も身長の高い女性|tallest woman ever」です。

彼女は8 ft(243.84 cm)以上に成長した唯一の女性です。

彼女の高身長は、下垂体の腫瘍によるヒト成長ホルモンの過剰分泌によって引き起こされました。

彼女は5歳までに母親よりも身長が伸びました。彼女は4人兄弟の一人でしたが、その中で唯一、平均の身長を超えました。

曾さんが糖尿病の合併症で亡くなったのは、わずか17歳の時でした。

彼女の身長とロバート・ワドローさんの同年齢の身長を比較すると、彼女が生きていれば彼を追い抜いていたかもしれないという説があります。

ガブリエル・エステバン・モンジャネ(1944-90)

出身国:モザンビーク

身長:245.7 cm

記録保持期間:1982-90

ガブリエルさんの身長は脳下垂体の過剰な活動しすぎが原因で、その異常な成長は生まれてすぐに始まりました。

その後、ポルトガルのサーカスに入団。自宅で転倒し、45歳で死去しました。

モハマド・アラム・チャンナ(1953-98)

出身国:パキスタン

身長:231.7 cm

記録保持期間:1990-98

当初は身長251 cmとの報道もありましたが、後に「存命中最も身長の高い女性」サンディ・アレンさんと同じ身長であることが判明し、二人は「最も身長の高い人物」の称号を分け合いました。

生年月日は不明なので、44歳か45歳で亡くなったことになります。腎不全と高血圧を患っていたため、政府は彼をアメリカに送り、治療費を支払うことにしましたが、残念ながら失敗に終わりました。

サンディ・アレン(1955-2008)

出身国:USA

身長:231.7 cm

記録保持期間:1990-98

今回の記事で紹介する最後の女性、サンディさんは『Cast a Giant Shadow』という書籍の中で、「最も身長の高い人物」としての経験について書いている。

彼女の高い身長は、脳下垂体に腫瘍ができ、成長ホルモンが制御不能に分泌されるようになったことが原因でした。

彼女は1977年に成長を止める手術を受けましたが、それがなければ身長は伸び続けていたでしょう。

サンディさんは映画やテレビ番組に出演しました。しかも彼女について書かれた曲『ハロー・サンディ・アレン』(スプリット・エンズ)まで登場しました。

脚と背中がその長身を支えきれなくなった彼女は、晩年、車椅子を使用していました。

サンディさんは度重なる血液感染、2型糖尿病、呼吸困難、腎不全と闘った末、53歳で亡くなりました。

ラドゥアン・シャルビブ(1968-)

出身国:チュニジア

身長:235.9 cm

記録保持期間:1998-2005

ラドゥアンさんは、高身長の世界記録保持者になっても、表舞台に立つことはほとんどありませんでした。

鮑喜順(1951-)

出身国:中国

身長:236.1 cm

記録保持期間:2005-09

Xishun Bao

自慢の長い腕で2頭のイルカの命を救ったことで有名な鮑さんは、16歳まで普通の身長だったとそう。

彼は、身長が過剰に伸びてしまう病気を持たない高身長記録保持者です。

スルタン・コーセン(1982-)

出身国:トルコ

身長:251 cm

記録保持期間:2009-

Sultan standing by a black cab

現在「存命する最も身長の高い人物|tallest person living」は、スルタン・コーセンさんです。

彼はこの記録を15年間保持しており、いつかヴァイノー・マイリリンネさんの最長記録保持期間を超える可能性があります。

スルタンさんがGWRで初めて測定された時の身長は、246.5 cmでした。そして2011年には、現在の記録の身長に到達しました。