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山口県在住の海上保安官、安達健太さんが、ギネス世界記録「24時間で懸垂をした最多数(男性)|most pull ups in 24 hours (male)」に認定されました。記録はなんと8,940回!

2022年に「懸垂を連続で行った最多回数|most consecutive pull ups (male)」(651回)を達成しています。しかし、安達さんは元から懸垂が得意だったわけではありません。

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安達さんが海上保安庁に入庁したのは2007年。当時行われたスポーツテストで、散々な経験をしたのです。

「私は懸垂が苦手で、スポーツテストで21回が満点なところ12回しかできず、悔しい思いをしたことを今でもはっきり覚えています」

その後日々練習を重ね、少しずつ懸垂ができる回数を増やしてきました。

  • 2015年 6月17日  80回
  • 2016年 3月4日  100回
  • 2021年 2月28日  102回
  • 2021年 4月6日  110回
  • 2021年 6月17日  151回
  • 2021年 6月28日  221回
  • 2021年 9月1日  430回

そして2022年--。ついに651回で「懸垂を連続で行った最多回数|most consecutive pull ups (male)」を達成した安達さん。10年以上の練習を積み上げ、世界一に輝いた彼は、自信がみなぎっていました。

「懸垂が他の人より優れていることを確信しました」

次に彼が目標にしたのは、24時間懸垂記録でした。

「懸垂のギネス記録を検索した際に、あらゆる記録がある中、最大時間である24時間懸垂が私の中でトップ……つまり懸垂の王様のように感じたのです」

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当時の記録は7,715回。安達さんは巨大な記録を塗り替えるため、記録申請を行いました。しかし場所の確保などが難航し、一度申請を取り下げました。

挑戦の用意の目途が付いた頃、安達さんはギネスワールドレコーズのページを見て愕然とします。なんと記録がオーストラリアのギャリー・ロイドさんに破られていたのです。記録は8,600回。安達さんに立ちはだかる壁はさらに大きくなりました。

記録挑戦までの2年間、安達さんは2日に1回、100~200回の懸垂を行ってきました。24時間記録に向けて本格的な練習を始めたのは2023年12月から。長時間懸垂を続けられるよう、30分からスタートさせ、徐々に時間を増やしていったそう。挑戦の2週間前には、自宅で9時間32分かけて5,000回の懸垂を行うことに成功。その一方で、右前腕を負傷してしまいました。

「挑戦本番までの2週間は治療に専念しつつ様子を見て1、2時間練習するのみとなりました」

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そして来たるは挑戦本番--。記録達成の大変さは、早々に発生しました。なんと開始1時間で、右肩に痛みを感じてしまう事態が。その後も眠気、腹部の違和感と、耐久記録特有とも言える困難が、安達さんを襲いました。5,000回を超えると、今度は強烈な吐き気、手のひらの水膨れ、両腕の痛みと重なり、記録更新は無理かもと不安になったと言います。

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身体が痛い辛い重い、気持ち悪い吐きそう、もう起き上がりたくないと何度も何度も感じました。しかし、サポートしてくれた妻、証人の方、職場の後輩上司、応援に来てくれた方々の励ましもあって、止まろうとは決してなりませんでした。

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序盤から過酷な状況に悩まされながらも、見事24時間で8,940回の懸垂を達成した安達さん。ただこの偉業は、1人で達成したものではないと言います。

「挑戦を終え私が感じたのは、1人では絶対に達成することのできなかった挑戦だと言うことです。関わって下さった方にサポートしていただけたから24時間やりきることができました。こんなちっぽけな私に多くの方が手を差し伸べて下さった事実が、数少ない私の自慢となりました」

特に妻は、24時間一睡もせずに私のサポートをしてくれ、いつも振り回して申し訳ない気持ちはありますが、世界一の理解者であり世界一の妻です。

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