101歳の"最高齢薬剤師"「天から受けた使命だから」
幡本圭左(はたもと けさ)さんは、東京都目黒区で薬局を営んでいる薬剤師。2024年4月1日現在の幡本さんの年齢は101歳196日で、ギネス世界記録「最高齢の薬剤師(女性)|Oldest pharmacist (female)」に認定されています。彼女は現在でも、在庫管理や発注、配送などを自分で行っています。
学生時代は小学校の先生になりたかったと言う幡本さん。しかし彼女を薬剤師の道へ導いたのは彼女の父親でした。
「父親が、やっぱり一生の仕事としては、薬剤師の方が、一生あなたが死ぬまでお免状が生きるよって言ってくれましてね。父親の言うことはいつも尊敬していたので、彼の言うことは間違いないと思い、学校を決めました」

しかし薬剤師の仕事や、そのための勉強内容については知らぬまま進学してしまった幡本さん。女学校の生活は予想以上に厳しかったそうです。
それでも無事卒業した彼女は、軍需工場関連の会社に就きました。その後結婚し、仕事からは一旦離れることに。
そんな幡本さんが自身の薬局を始める転機は、突然訪れました。
「主人が、友人の保証人になったんです。一番信頼していて、間違いない友人でしたが、その方が駄目になっちゃって。あるとき主人が他の方に”あなたの奥さん薬剤師だから薬局をやったらどうなの”と言われて、どうするか聞かれました。家計のこともあるし、そうしましょうと答えました」
開店当初、お店には雑貨なども扱っていたそう。他に多くのお店が並ぶような場所ではなかったため、お店は繁盛したそうです。その後は漢方も学び、お客さんの養生をサポートするような薬局を目指してきました。

70年以上も薬剤師を続けてこられたのは、自身の性格があったと言います。
「あんまり苦労って感じない性格なのかな。主人が失敗したときは心配しましたけど、主人を問い詰めたり、ギャーギャー言ったりしなかったんですね。今まで生きてきて、一番それが自分の偉かったところなって思うんですよ」
そしてギネス世界記録に認定された幡本さん。数十年以上も薬局をやり続けてこられたのは、ひとりだけの力ではないと言います。
「皆さん、本物を見たの初めてよって言ってくれます。それだけ権威のあるものを頂いちゃって、ちょっと荷が重いです。でもお客様も同業者も喜んでくださります。本当に皆さんに助けられて、ここまで来られました。神様仏様皆様、本当にありがとう」
天からやれるだけやりなさいっていう使命を受けちゃったんだなって思います。最近はちょっと欲が出て、102歳のときにもう一回、皆さんにお会いできたら嬉しいなと思うようになりましたけどね。
