阿久澤幸吉さんギネス世界記録達成 102歳で富士山登頂

102歳の阿久澤幸吉さんが、富士山登頂に成功し、ギネス世界記録「富士山を登頂した最高齢の男性|oldest person to climb mount fuji (male)」に認定されました。
登山グループ「群馬岳友会」名誉会長を務める阿久澤さんは、ほぼ毎週登山をしています。そして2022年には99歳の誕生日を記念して、鍋割山(1,272 m)に登頂しました。
しかし、誰もやっていないことに挑戦したいと思った阿久澤さんは、最高齢での富士山登頂を目指すことにしたのです。前回彼が富士山に登ったのは96歳のときでした。
2025年8月3日、阿久澤さんは吉田ルートで富士山頂上を目指しました。山小屋に宿泊する、2泊3日の旅程でした。
登山中の天候は良好でした。しかし相手は3,000メートル級の山。強風はもちろん、気圧や酸素濃度の低下もあり、若者でも決して楽な道のりとは言えません。
1日目・2日目は比較的順調に登山を続けた阿久澤さん。しかし3日目は厳しさを増しました。9合目付近では、とうとう「もう降りよう」という言葉が出てしまうほど。
一緒に登ってきた仲間たちは、ここで励ましの言葉をかけることはできませんでした。なぜなら、阿久澤さんが富士山登頂に向け、どのような試練を乗り越えてきたかを知っていたからです。
まず今年の1月。阿久澤さんは登山中に転んで怪我をしてしまいました。救急車で運ばれ、一命をとりとめるものの、その後帯状疱疹にかかり、さらには心不全までなってしまいました。回復するものの、その後は富士山に耐えられる体力を取り戻すため、毎朝1時間のウォーキングや、週に一回の登山などに取り組んでいたのです。
これらを知っていた仲間たちは、阿久澤さんの「降りよう」という言葉に、返す言葉が見つかりませんでした。ここで励ますことができたのは、娘の元江さん(70)だけでした。「一歩ずつでもいいから、頂上を目指そう」という娘の言葉に動かされ、阿久澤さんは最後の力を振り絞りました。
2025年8月5日午前11時、阿久澤さんは見事、富士山の頂上に到達しました。頂上では喜びというよりは安堵の様子だった阿久澤さん。しかし、家族や仲間の前でギネス世界記録の公式認定証を手にすると、その心境は変わっていたようです。
「満足してるよ。周りのみんなのおかげだよ」
また富士山に登りたいかと聞かれると、「もう無理」と答えた阿久澤さん。「また来年になったら分からないけど、今はもう十分です」と言いました。
記録達成、本当におめでとうございます!