万博通い続けて648日 「万博おばあちゃん」ギネス世界記録認定
「万博おばあちゃん」こと山田外美代さんが、ギネス世界記録「万博を訪れた最多日数|most days visiting expos」に認定されました。山田さんは9月5日時点で累計648日、国際博覧会を訪れました。

愛知万博にて
山田さんが万博に通い始めたのは2005年の愛知万博(愛・地球博)でした。当時の山田さんの体調はすぐれず、何度も手術、入退院を繰り返してきたそう。しかし万博に通うことによって、体調は良くなっていったそう。
元気を取り戻すことができた理由のひとつが、万博で育まれた人間関係でした。「行ったことのない国々のことを知り、その国々のスタッフの方と交流ができました。多くのひと、もの、こととの出会いを通して前向きに生活ができるようになりました」
「地球が危ないとのメッセージに恐怖を抱いていたが、自分も努力すれば地球の今後は変えることができるのだと知ることができました」

アスタナ万博ボランティアミーティングにて
最終的に、愛知万博の開催期間である185日、毎日通い続け「皆勤」を達成した山田さん。会場での出会いをきっかけに、今後の万博にも行きたいと考えるようになったそうです。
「いつも私の名前を呼んでくれたり、パビリオンに友人として招いてくれたりしてくれたりした皆さんから『次の万博でも会おうね』と毎回言葉をかけてもらったことで、次も行きたいという気持ちは高まり、お金をため、健康に暮らさなければという目標を毎回持ちました」

上海万博の事務局から皆勤証明書を受け取る山田さん
その結果、上海万博(2010)、ミラノ万博(2015)、ドバイ万博(2022)はもちろん、2008年(サラゴサ)、2012年(麗水)、2017年(アスタナ)の特別博、そして2019年(北京)と2023年(ドーハ)園芸博にも行くことができました。
上海および麗水の万博においては、それぞれ184日、93日で、「皆勤」を成し遂げることができました。

開幕日の東ゲートにて
そして2025年―。万博は日本に戻ってきました。山田さんは皆勤を目指し、準備を進めてきました。以前の万博と同様、会場近くのアパートも借りて、近距離から会場に出かけられるようにしました。
20年間万博に通い続けた山田さんですから、各国の文化にそう驚くことはもうありません。しかし、今でも発見はあります。ひとつは「暑い国」に住んでいる人たちも、日本の暑さに相当参ってしまうこと。もうひとつは、過去の戦争の憎悪は引きずられ、消えないこと。

大阪メトロの定期券を購入した山田さん
当初はギネス世界記録に挑戦することは考えていなかったという山田さん。しかし5月11日に達成された「最大のマーチングバンド|largest marching band」(12,269人)で、多くの人が喜ぶ姿を見て、記録のことを考えるようになったそうです。

マニュエルスイス館政府代表と
「私もずっと続けてきたことがあり、万博会場に行くたびに皆さんから『頑張ってね』とお声がけをいただいてきました。20年間のまとめとして皆さんに感謝の気持ちも込めて『今までありがとう』と言える時がようやく来たのだと思います」
もちろん、毎日会場を訪れるのは容易なことではありません。時には体調がすぐれないときも、行きたくない日もあったと山田さんは言います。しかし、「明日も来てね」と言う言葉に励まされて、頑張り続けることができたそう。
648日(そして更新中)で見事ギネス世界記録に認定された山田さんは、感謝の気持ちにあふれていると言います。
「振り返ってみると、確かに20年は長かった。長く続けることは相当苦しいことが多かったが、人の気持ちを変えるのは人であり、私の頑張ろうという気持ちは皆さんの後押しがあってのこと。応援してくださった皆さんに感謝したいです」

自身を「歩くパビリオン」と自負する山田さんは、個人として博覧会に出向き、皆が集うこと、手を携えること、仲良く交流することは大切だと訴えてきました。
「会場は笑顔一つで結ばれるもう一つの地球。本物の地球で考えても同じこと。笑顔があればどんな困難も乗り越え、つながることはできるはず。戦争も紛争もない世界になってほしいです」