ビヨンセ・ノウルズ:ポップの女王
『音楽のファーストレディ』と呼ばれるビヨンセ・ノウルズは、様々な輝かしい業績を生み出してきた。
20のギネス記録を持つポップスターは、様々な社会的な枠組みに対して挑戦し、女性のエンパワメントの重要さを世の中に知らしめ、音楽の歴史を塗り替え続ける。
我々の世代を率いるパフォーマーとして、ビヨンセはシングル売り上げ記録(best-selling single (Spain))の歴代一位を誇る『Amor Gitano』(スペイン)を含め、ヒット曲を何度も繰り出してきた。
音楽史で最も影響力が高いクイーン・ベイが持つ他の記録は何だろうか?

スター誕生
1981年9月4日に、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンにて生を受けた、ビヨンセ・ジゼル・ノウルズ。彼女が初めて人前でその才能を披露したのは、7歳の時であった。
恥ずかしがり屋で内向的だった彼女を見た両親は、ダンスのクラスを受けさせることで、協調性を学ばせようとした。
そして初めて彼女が人前で踊るのを見た時、両親は彼女の中に隠された可能性を確信したと言う。
ヒューストン市内にある、パーカー小学校という、音楽をメインに教育する学校に入学したビヨンセは、学校の聖歌団に入団。
その後、芸術高校に進学し、アリーフ・エルジック高校にて自分のスキルを磨いていくこととなる。この頃には既にダンスや歌の大会に優勝し始め、確実に音楽へのキャリアを積んでいっていたという。
だが歌姫は常にスターへの道を約束されていたわけではなかった。
ゼロックス社の営業部長だったビヨンセの父親、マシューは、このグループのマネージメントのために仕事を辞めることを決意した。
クイーン・ベイへの道のり
2002年、ビヨンセはJay-Zによる”’03 ボニーアンドクライド”という曲に、ボーカリストとして参加する。
ビヨンセのソロとしてのキャリアを確実なものにしたのは、その一年後の2003年に発表された、彼女のデビューアルバム、『デンジャラスリー・イン・ラブ』である。このアルバムで、彼女はグラミー賞を含む賞レースを総なめにし、ツアーのチケットは全て売り切れ、その名を世界のトップアーティストへと知らしめることになる。
ミッシー・エリオットや、ショーン・ポールといったヒップホップアーティストや、様々なジャンルをフィーチャリングしたこのアルバムは、ビヨンセの類まれなる音楽への振れ幅を世界に見せつけた。リリース後、すぐにこのアルバムはアメリカとイギリスのチャートで1位を獲得し、アメリカ国内だけでも4,000万枚以上の売り上げを記録。世界では8,000万枚の売り上げを記録している
その後『クレイジー・イン・ラブ』でJay-Zと再びコラボレーションし、世界中のチャートを制覇すると、グラミー賞はビヨンセの独壇場と化した。
同アルバムに収録されている他3曲も、トップ10ポップソングのチャートの常連となった。
『現代のフェミニスト』を名乗るビヨンセの作品は、愛や人間関係、女性としてのセクシャリティーや権利向上をテーマにしたものがほとんどだ。
1999年から現在にかけて、ポップの女王はノミネーションやアワードを受賞し続けている。「歌手によるグラミー賞最多受賞|most Grammy awards won by a vocalist」や、「女性アーティストによるグラミー賞最多ノミネーション|most Grammy nominations for a female artist」、そして「グラミー賞最多受賞|most Grammy awards won by a female artist」は、彼女が誇る数ある記録のほんの一部でしか無い。
下記は、ビヨンセの記録のリストの抜粋である。
記録 | 業績 | 達成日 |
個人によるBET 賞最多ノミネート | 75 | 2022年6月15日 |
MTV ビデオ・ミュージック賞最多受賞 | 30 | 2021年9月12日 |
個人によるBET 賞最多受賞 | 32 | 2021年6月27日 |
女性アーティストによるグラミー賞最多受賞 | 28 | 2021年3月14日 |
夫婦によるグラミー賞最多受賞 | 51 | 2021年3月14日 |
グラミー賞のラップ・パフォーマンスを受賞した最初の女性アーティスト | 1位 | 2021年3月14日 |
歌手によるグラミー賞最多受賞 | 28 | 2021年3月14日 |
グラミー賞のレコード・オブ・ザ・イヤー部門最多ノミネート | 7 | 2021年1月1日 |
女性アーティストによるグラミー賞最多ノミネート | 79 | 2020年11月24日 |
二人組による音楽ツアーの一年度における最多売り上げ | 2億5,350万ドル | 2018年10月4日 |
MTV Video Music Awards のビデオ・オブ・ザ・イヤー部門最多ノミネーション | 7 | 2018年6月18日 |
女性アーティストにおけるTwitterの最多エンゲージメント(平均リツイート数) | 31,615 | 2018年4月11日 |
最も売上の高いシングル(スペイン) | 48万枚 | 2017年5月11日 |
6つのスタジオアルバムでナンバー1でデビューしたファースト・アクト(アメリカ) | ビルボードチャート200アルバム部門1位 | 2016年5月14日 |
アーティストが所有する初めての音楽ストリーミングサービス | 1位 | 2015年3月30日 |
ハリウッドで一番収入の高いカップル | 1億7,500万ドル | 2014年6月30日 |
一年で得た収入が一番高い女性アーティスト | 1億1,500万ドル | 2014年6月30日 |
フォーブスによる『セレブリティ100』で一番高いランキングを記録した女性ミュージシャン | 1位 | 2014年6月1日 |
女性アーティストによる一年間でのグラミー賞最多受賞 | 6 | 2012年2月12日 |
女性アーティストによる一年間でのグラミー賞最多ノミネート | 10 | 2010年1月1日 |
役者としてのキャリア
音楽家としての成功を手にしたビヨンセだが、彼女の冒険はそれだけには飽き足らない。
2001年、オペラ『カルメン』を現代風にアレンジした『カルメン:ヒップ・ホップ・オペラ』にて、彼女は世界に演劇の才能をも見せつけることになる。
また、2002年には映画『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』にフォクシー・クレオパトラ役として出演。
それにとどまらず、世界のアイコンは2003年、『ファイティング・テンプテーションズ』で三度目の映画出演を果たした。
そして2006年。数々のアカデミー賞を受賞した『ドリームガールズ』で、ビヨンセは役者としての成功を確かなものにした。
ブロードウェイの大ヒットミュージカルを原作にしたこの映画には、ジェニファー・ハドソンやジェイミー・フォックス、またエディ・マーフィといった様々なハリウッド・スターが名を連ねている。
その2年後、ビヨンセは『キャデラック・レコード』にてエタ・ジェームズを演じ、数々の賞賛を浴びることとなった。
また2010年、ビヨンセはレディ・ガガとコラボレーションし、そのミュージック・ビデオ、『テレフォン』は音楽史にとって歴史的なものとなった。
その他にも、ビヨンはロレアル、トミー・ヒルフィガー、ティファニーといった数々のブランドのモデル、またスポークスパーソンを務めている。
カーターズ
2008年4月4日、ビヨンセは長年の恋人であるJay-Z(本名ショーン・コーレイ・カーター)と結婚した。
以来二人はお互いのミュージック・ビデオや曲でコラボレーションし続けている。
個人のみならず、夫婦として、グラミー賞最多受賞や二人組による音楽ツアーの一年度における最多売り上げ記録(most Grammy awards won by a married couple)、またハリウッドで最も収入の高い夫婦(strong>highest earning couple in Hollywood ever)として、記録を更新し続けている二人だが、プライベートを重視する彼女たちは、今でもお互いのことについてはあまり公のインタビューの場で語ることはない。
結婚式も、婚約を公表する何ヶ月も前に、Jay-ZがNYに所有するペントハウスの屋上で密かに挙げられた。
ビヨンセはヒット曲、『シングル・レイディーズ』にとどまらず、多数の曲で二人の結婚生活の様子を仄めかし、その度に世界は二人に夢中になる。
カーター夫妻は2012年にブルー・アイビー・カーターを授かり、また2017年には双子のルミ・カーターとサー・カーターを産み、現在3人の子供たちと共に暮らしている。

自らの力で手に入れた栄光
『音楽のファーストレディー』の異名を持つビヨンセは、唯一無二の栄光を作り続けてきた。
全ての分野におけるその業績や功績を見ると、世界中の『ベイヘイヴァーズ』たちがなぜ彼女に夢中かがお分かりいただけるだろう。
ブルースからエレクトロポップまで、ジャンルを超えて音楽を作り続けるクイーン・ベイは、常に固定観念に対して疑問を投げかけ、挑戦し続ける。
また、彼女はツアーのバンドメンバーを全て女性にすることで、継続的に女性の権利向上の社会運動を支持し続ける。
歌詞を通して、自由、独立性、そして女性性を讃える彼女。
ビヨンセはまた、アメリカにおけるアフリカ系アメリカ人の地位向上のためにも声を上げる。
より平等な世界を作るために、彼女は長年の努力、そして数々の受賞で築き上げてきた影響力を惜しみなく使う。
ベイの栄光は、彼女の強烈に記憶に残るパフォーマンス、魂溢れるトラック、そしてその力強い歌声によって、これからも私たちの世界を照らし続けるだろう。