公式認定員、カルロス・マルティネス。
笑顔が印象的な、スペイン人のベテラン公式認定員です。
数々のギネス世界記録を認定するため、世界中を飛び回る生活をし、
テレビやイベントでその姿を見かけたことがある人も多いと思います。

ギネスワールドレコーズ東京オフィスの一員としては
非常に残念なお知らせなのですが、2014年7月11日を以って、
彼は日本での三年間の任務を終え、ニューヨークへと飛び立つことになります。

ロンドン本社で働き始め、記録の申請・挑戦の審査を行う「記録管理部」を
ニューヨーク、そして日本と続けて立ち上げてきたカルロスの次の任務は、
得意のスペイン語・ポルトガル語を通じて、
ラテンアメリカでの記録挑戦者の声に耳を傾けること。

カルロスがニューヨークに旅立つ前のこの機会に、
特に印象に残っている日本の記録挑戦、
会えて嬉しかった日本の有名人、
日本の皆さんに伝えたいメッセージなど、
普段はなかなか聞けないことを聞いてみました!

それでは早速、編集部のスズとアスミで、記録管理部部長、
カルロス・マルティネスに質問です。


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アスミ: カルロスは日本に来る前、日本についてどんな印象を持っていたの?
カルロス: 日本人はみんな時間に正確で、テクノロジーがすごく発達していて、
ロボットみたいに完璧主義で、ちょっと冷たい人たちなのかな、と思っていた。
でも、実際に話してみると本当に温かい人ばかりで、
すぐに打ち解けることができたから、日本に来て良かったよ!

スズ:実は日本人はロボットで、世界にばれないように肉を被っているんだよ、知らなかった?(笑)

カルロス: 今までスペイン、イタリア、ポルトガル、オランダ、イギリス、アメリカ、
そして日本の7カ国で暮らしたことがあるけど、お世辞抜きに、日本が一番好きな国だよ。
とても生活しやすいし、みんな親切で、今では世界のどの国よりもたくさんの友達ができた!

スズ: カルロスは、本当に日本人っぽいよね~。前世は日本人だったんじゃない?

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浴衣を着たカルロス

カルロス: スペインだと、常に誰かと何かをしているのが当たり前で、例えばちょっと一人でボーっとしたいと思っても、「どうしたの?具合でも悪いの?」って心配されちゃうからね。日本人の程よい距離感と、他人のことを自分よりも気遣う文化が、自分には合っているんだと思う。みんなが周りを気遣うことで、社会全体がうまく回っているんじゃないかな。

アスミ: カルロスは、日本人の私よりも日本人らしいと思う。日本にはいつ来たんだっけ?
カルロス: 2011年の5月!3年ちょっと、暮らしていたね。

アスミ: 東日本大震災の直後はたくさんの外国人が日本からいなくなっていたけど、
その時期に日本に来るのは怖くなかったの?

カルロス: 全く!世界一を目指して、日本を盛り上げたいと思っている人たちを助けることができる、良いタイミングだったと思う。

スズ: 日本での記録挑戦について、外国人の公式認定員として何か感じることはあった?

カルロス: とにかくチームワークがすごい!みんなギネス世界記録のルールを尊重してくれて、ズルしようとしない。海外では挑戦の時にインチキしようとした人も中にはいたけど、日本ではその心配があまりなかった。日本人のフェアプレー精神は素晴らしいよ!尊敬する。

スズ: 今まで日本で立ち会った記録挑戦で、特に印象に残っている記録は何?

カルロス: たくさんあるけど、一番は、2011年10月に熊本で立ち会った「最大の和太鼓の演奏」*(Largest Japanese drum ensemble)。とても日本らしい記録で、2000人以上の人が集まって演奏する和太鼓は迫力があって、圧巻だった!


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*2014年7月時点、現在のギネス世界記録は盛岡さんさ踊り実行委員会が達成した3437人


アスミ: 公式認定員として日本中を飛び回っていて、気に入った場所は?

カルロス: 場所としても九州は好きだよ。特に熊本はとても良いところだった。あと、「最も長い祭り用の蛇」(Longest festival snake)の認定の時に泊まった、群馬県の老神温泉の旅館も気に入っている。もちろん、京都も好きだね!食べ物だと、日本の牛肉は世界でも最高級だと思う。彦根で食べた近江牛や、神戸で食べた神戸牛の味は忘れられないね!本当においしかった。

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石川佳織と共に祭り用の蛇の長さを測るカルロス

スズ: 今まで公式認定員として大変だったことは?

カルロス: 梅雨とか、天気かな。こればかりは、どうすることもできないからね。例えば、アスミとスズと一緒に行った「最も長いロールケーキ」(Longest cake roll)の認定の時は、強風でロールケーキのスポンジ生地が飛んじゃうアクシデントもあったね。

スズ: あったあった!

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風でロールケーキが飛ばされた時。急いで新しい生地と交換し、無事記録達成になりました。

アスミ: 今までテレビ番組などでも認定をしてきて、色々な有名人とも会っているけど、その中でも「この人と会えて嬉しかった!」という人は?

カルロス: 吉田沙保里選手!名古屋のオアシス21のチャレンジフェアで、「レスリング女子オリンピック&世界選手権連続優勝回数」(14回)のギネス世界記録を持つ吉田選手のタックルを受けたのは、良い思い出だよ!

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あとは、ドラゴンボールの主題歌「摩訶不思議アドベンチャー」を歌っている歌手の高橋洋樹さん!高校生の時、スペインでもドラゴンボールの日本語の曲を聴いていたから、生歌を聴いた時は感動した!

スズ: カルロスは普段、仕事以外の時間は何をしているの?

カルロス: 仕事ばかりしていたよ!笑 特に日本に来たばかりの頃は、週末はほとんど記録挑戦で埋まっていたんじゃないかな。ロンドン本社と電話やメールをすることもしょっちゅう。仕事以外の時間は、日本語を覚えるために日本語学校に行って勉強したり、ジムに行って運動したり、家で映画を観たり、公園を散歩したりしていたよ。

アスミ: そういえば、一緒に認定に行った帰りの新幹線で、疲れているはずのカルロスが隣で日本語の宿題をやっていて、「語学ができる人はこうやって努力するんだなぁ」と感心したことがあるなぁ。

スズ: ニューヨークに行ったあとも、日本語の勉強は続けるの?

カルロス: 続けたいけど・・・今後はラテンアメリカエリアを担当するためにポルトガル語をもっと勉強するから、日本語も勉強するのは難しいかもしれないね。

アスミ: 一番良く使った日本語は?

カルロス: 『名刺』だね!日本に来た最初の一週間で、今までの人生で渡した名刺よりもたくさんの人と名刺交換をしたよ!

アスミ: 確かに、日本は必ず名刺を交換するね!好きな日本語の言葉は?

カルロス: 『しょうがない』が好き!響きが好きなのと、「ギブアップ」を口にしているようで、実は諦めていないような、そのニュアンスが良いと思うんだ。あと、記録挑戦の時によく聞く『がんばろう』も好きだよ。

スズ: 好きな言葉が『しょうがない』とは、日本人にはあまりない斬新な発想だね~。

アスミ: カルロスの後は、テレビでもお馴染みの公式認定員、石川佳織が記録管理部の部長になるわけだけど、実際のところ、この人事についてはどう思っているの?

カルロス: カオルは素晴らしいよ!ギネスワールドレコーズでの経験は長いし、ほんの少し、私より日本語ができるしね(笑)

スズ: カルロスは日本の記録管理部をゼロから築いてきたけど、その結果には満足している?

カルロス: マクミラン彩やグリナズ・ウカソヴァといった素晴らしい記録管理部のメンバーを見つけることができて、非常に満足しているよ。世界一の意味を理解して、英語も日本語もできる人材を探すのは、とても大変だったんだ。あとは、私が日本に来る前に比べると、申請数が5倍にも増えて、それにともなって日本のギネス世界記録の保持数も増えたんだ!たくさんの日本人がギネス世界記録を好きになってくれて、今までの頑張りが報われた気するよ。

スズ: カルロスの今後の目標は?折角なので、できたら仕事以外で!

カルロス: 今の目標はやっぱり、ギネス世界記録をもっと身近に感じてもらうことだね。ギネス世界記録には、みんなを幸せな気分にしたり、「やるぞ!」と思わせたり、日々の生活を豊かにしてくれるパワーがあると信じている。この仕事のそういうところがとても好きなんだ。だから今度は違う場所で「私もギネス世界記録に挑戦してみようかな?」と思ってもらえるように、頑張るよ!

アスミ: 相変わらず真面目!でも、カルロスのそういうところが、みんなに好かれるんだと思う。それでは、最後に日本のファンの皆様にメッセージをお願いします!

カルロス: 日本はとても発展した素晴らしい国だから、これからもっともっと、世界を導いていってほしい。ギネス世界記録に挑戦することは、日本の素晴らしさを世界に伝える良い手段だと思うよ!とにかく、私は日本で暮らせて幸せだった。日本のことが本当に好きだよ。

また日本に帰ってくるから、待っていてね。行ってきます!

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