elisabeth anderson sierra split image

エリザベス・アンダーソン=シエラさんは2児の母。しかし今までに何千人もの子どもたちを養ってきました。そしてときには、未熟児の命をも救いました。

それもそのはず、アメリカ、オレゴン州在住のエリザベスさんは2015年2月20日から2018年6月20日の間に1,599.68Lの母乳を母乳バンクに寄付し、ギネス世界記録「個人による母乳寄付の最大量|largest donation of breastmilk by an individual」を達成しました。これはスターバックスのベンティサイズ2,253杯分、または2Lボトル800本に相当します。

「これはあくまで2015年から2018年までに寄付した分です」とエリザベスさんは言います。 

記録のなかには、世界中の子どもたちに寄付した母乳の多くは含まれていないのです。

エリザベスさんは過去9年におよび、10,000L以上の母乳を寄付してきたと試算されています。そして寄付先の多くは「発育不良(FTT)」と診断された赤ちゃんたちでした。

elisabeth sierra anderson donating breast milk

「その状態を脱して、FTTと呼ばれなくなるようにすることに貢献できるのは、私にとって重要な意味を持ちました」とエリザベスさんは言います。

「こう言ったポジティブなストーリーを紡ぐことができるから、私も寄付を続けることができるのです」 

2017年9月、ハリケーン・マリアがプエルトリコを直撃しました。エリザベスさんの夫はプエルトリコ出身なので、ハリケーンの直後に家族でプエルトリコに行ったそう。

elisabeth sierra anderson has donated a record breaking amount of breast milk

もちろん、滞在中にはずっと搾乳を続けていました。1週間以上いたので、かなりの量を出すことができました。

それから間もなく、その母乳を必要としている家族を見つけます。それは当時3か月のホアキンくん。未熟児として生まれ、母親は出産時に亡くなってしまいました。

粉ミルクとの相性が悪かったホアキンくん。父親は、アメリカの母乳バンクから母乳を購入して、プエルトリコに送ってもらっていました。 

elisabeth sierra anderson has helped countless babies

「1日に2万円以上もかかることになってしまいます。ホアキンの父親は自分の子どもを助けるためのお金が足りない現実と直面していたのです」

ホアキンくんはエリザベスさんの母乳をすぐに受け入れました。エリザベスさんはもっとできることがあると考え、アメリカ帰国後、ホアキンくんの父親に連絡しました。

elisabeth sierra anderson pumping breast milk

それから1年間、ホアキンに母乳を送り続けました。

エリザベスさんがこれだけの母乳が出せるのには理由があります。それはハイパーラクテーション症候群。プロラクチンというホルモンが生成されて、母乳がたくさんできてしまうのです。

elisabeth sierra anderson storing her breast milk in the fridge

しかし母乳をたくさん出し続けるには、道具も大事になってくるとエリザベスさんは言います。

elisabeth sierra anderson using breast pumps

「正しいフランジのサイズと種類、そしてパワーハウス・ポンプの組み合わせが搾乳量の決め手です」

しかもエリザベスさんは、より多くのおかあさんたちが楽に搾乳できるように、搾乳機メーカーと開発協力をしています。

elisabeth sierra anderson with her gwr certificate

BabyBuddhaポンプは私の人生を変えたし、世界中の母親の人生を変えています。 

ハイパーラクテーション症候群によって、エリザベスさんは大変な思いを強いられました。以前は壁につけたポンプの前に立って搾乳を続けなければいけませんでした。今はポータブル式のポンプで搾乳がやりやすくなったため、母乳の寄付によりポジティブに向き合うことができたと言います。

搾乳を定期的に行わなければいけないものの、エリザベスさんは自身の行為を誇りに思っています。 

elisabeth sierra andersons breast milk is used to feed a baby

エリザベスさんは今まで全ての母乳を使うか寄付をするかをしてきました。しかしいずれは搾乳をやめたいと考えています。

「プロラクチンを抑える方法はいくつかあります。やめるときには、それらの選択肢を検討していくことになります。その1つが薬による治療です。」

elisabeth sierra andersons store of breast milk

薬の治療以外には、両乳房切除手術で乳腺を全てとってしまう方法もあります。しかしそれでもホルモンは生成され続けるため、新たな乳腺が作られてしまうリスクもあるとか。

いずれにせよ、搾乳を止めるのはまだ先のようです。 

このギネス世界記録達成を機に、母乳の寄付がより一般化されることを期待しています。