split image of Andrea Lanfri

アンドリア・ランフリさんは2015年、7か月の入院生活を過ごしました。病状は敗血症を伴う急性細菌性髄膜炎。入院している間の2か月は昏睡状態でした。

感染は深刻で、両脚および7本の指を切断せざるを得なくなりました。

しかしアンドリアさんはひるむことなく、アスリートになることを決意。イタリア代表チームに入り、パラ陸上のヨーロッパおよび世界大会で銀・銅メダルを獲得しました。

その後、アンドレアさんは自身が最も興味を持つ登山に目を向けます。そしてついに、「複数の切断手術を受けた人による初のエベレスト登頂|first multiple amputee to climb Everest」をやりとげたのです。

1か所または2か所の切断手術を受けた人によるエベレスト登頂は過去に存在しますが(ニュージーランドのマーク・イングリスさんやアメリカのギャリー・ギュラーさん)、脚と指を失った人による登頂は、アンドレアさんが初めてです。

Andrea sitting next to his prosthetic legs

「病院にいる間も、いつかまた山に戻ることができると確信していました。山は私の一部で、生きる意味そのものでした」とアンドレアさんは言います。

アンドレアさんは"典型的な"エベレスト攻略として、最初から歩いて登り、高高度のキャンプで環境に慣れてから、山頂を目指しました。

Andrea at Base Camp

Andrea and Luca traversing rocky terrain

親指と義足のみで登るのは至難の業。バランス感覚を鍛えるのはもちろんのこと、義足で登る自信を身に着けるのも大事だったと言います。

「何も新しい登山方法を発案したわけではありません。ただ、昔とは違ったやり方を覚える必要があったのです」

また、あらゆる義足を使い分けることができるので、その時々の地形に合わせたものを選ぶことができたそう。

寒い氷河のど真ん中で、夏用の靴を履いていたんです。そうしたら、他の登山家たちが「足、寒くないの?」と驚かれたのは面白かったです。

Andrea crossing an ice crevasse

アンドリアさんと友人のルカさんは、良い天候に恵まれ、予定より2週間早い、2か月半の期間でエベレストの冒険を終えることができました。

「山頂を見たとき、何とも言えない巨大な感情に包まれました。それを目にするまでのトレーニングの数々や、登ってきた山々のことがフラッシュバックしてきました」

登山で難しいのは、登ることよりも下りることの方だとも言われます。義足を確認しながら下りるのはより大変で危険だそうですが、ここもアンドリアさんは無事にクリアすることに成功しました。

Andrea and Luca near summit of Everest

ギネス世界記録を達成したことを誇りに思うと言うアンドレアさん。今度は北米最高峰のデナリを目指します。その後も、世界中の8,000メートル級の山々に挑戦していく予定だそう。

アンドレアさんのエベレスト登頂は、イタリアのAmazon Primeで公開中。英語版のリリースも予定されているそうですが、その予告編は以下からチェックすることができます。