TikTokでトップブランドになる方法: ギネスワールドレコーズからの提案

2020年はTikTokにとって大きな一年となりました。パンデミックの影響で多くの人たちが創造力を出す場所を見直す中、TikTokは1か月における平均ユーザー数が10億を突破しました。

特に印象に残るのはブランドや企業による15秒～60秒の動画がユーザーの「For You」ページを彩ったこと。ギネスワールドレコーズは、この新天地にいち早く足を踏み入れたブランドの1つでした。

SNSモニタリング・プラットフォームのConvivaが発表した2020年のデータによると、ギネスワールドレコーズはSNSで最もフォローされている会社のトップ7に入り、TikTokでは1位という結果に。これはソーシャルリスニング、適切なコンテンツ戦略、インサイトのモニタリングなどの組み合わせの結果ですが、これらはどんな企業でも採用することのできるものです。

この記事では、ギネスワールドレコーズのシニア・ソーシャル・メディア・マネージャーのダン・ソーンが、アカウント開設からの動きを振り返り、ブランドがTikTokでインパクトを残すためのヒントをご紹介します。

はじまり

ギネスワールドレコーズがTikTokアカウントを開設したのは2019年1月。すさまじいペースで変貌するデジタルの世界でプレゼンスを維持するブランドとして、ギネスワールドレコーズは常に新たなプラットフォームの使用を検討しています。（2018年にTikTokに合流した）Music.lyに記録保持者がいることは確認していましたが、音楽に合わせて口を動かすものは私たちに合ったプラットフォームではありませんでした。しかし、中国のチームが「Douyin（抖音）」や「Kuaishou（快手）」などでショート動画をアップし注目を得たことが、TikTokへの進出に導きました。

DouyinがTikTokとして海外に出ることを知り、そこで私たちのコンテンツを発信し、その反応を探るタイミングだと考えました。また、イギリスのインフルエンサーとの会話を通じて、他のデジタルプラットフォームではうまくいかなかったコンテンツがTikTokでは成功していることを知り、ますますTikTokアカウント開設は正しい判断と考えました。また「For You」に表示される回数が増えれば、フォロワーを増やすことができることを知り、多くの動画コンテンツを持つ私たちのようなブランドも、この方法を活用できると考えました。

そして数年に及ぶFacebookやYouTube、Instagramなどの運用経験を活かし、新たなプラットフォームでより共感を得るであろうコンテンツを戦略的に選択しました。

フォロワーがどのように増えていったか

ギネスワールドレコーズは、メディア・エンターテインメントの会社として、TV、書籍プロモーション動画、プレスリリース用動画、そして記録保持者によるUGC（ユーザー生成コンテンツ）など、幅広いコンテンツに恵まれています。TikTokではあらゆるコンテンツが人気を得ますが、フレッシュで共感しやすくエキサイティングな動画が特にヒットとなる傾向があります。

「For You」で私たちが初めて大きなヒットを経験したのは、2014年に撮影された、「最も背の高い男性」と「最も背の低い男性」が会う動画でした。TikTokユーザーの多くは初めてこの動画を目にし、その温かみのあるイベントに共感し、再生回数は7,000万回以上となりました。

@guinnessworldrecords
On this day in 2012 shortest man Chandra Dangi was measured. He met tallest man Sultan Kösen in 2014
♬ World Records - Guinness World Records

コンテンツを選択する際、テーマとストーリーが最も重要な要素だと考えます。記録保持者は特別なスキルとインスピレーションを秘めています。なので高いエンゲージメントを得るためには、動画に映る人に秘めた魅力が際立ち、かつおもしろさが出ていることが非常に大切です。私たちのチャンネルは、シェアができる楽しいくてサプライズのある瞬間だと考えており、これはブランド・イメージにもつながる部分があります。TikTokは楽しくポジティブな環境なため、それに合わせたトンマナでブランドのコンテンツを発信することによって、あらゆるユーザープロフィールでも統一感のある形にすることができます。またTikTokは多様性を強調しているので、私たちが発信するコンテンツも、ブランドのアイデンティを維持しながらこのような側面を出すよう意識しました。

適したテーマの模索

TikTokを開いて分かるのは、各インフルエンサー、クリエイター、ブランドは独自のテーマを持っています。アカウントからどういったコンテンツが期待されるかを明確にするものなので、ユーザーに対して統一感のある人格やトーンは必須です。ギネスワールドレコーズは幅広い分野を網羅しますが、最も人気のあるテーマはものを破壊する、強さにまつわる記録です。例えばアメリカのストロングマン、ビル・クラークさんによるナンバープレートを破る動画は1億2,100万回再生、インドのアブヒーシュ・P・ドミニックさんによるココナッツを破壊する動画は1億7,740万回再生を記録しています。

@guinnessworldrecords
Most license plates torn in one minute 💪 23 by professional ##strongman Bill Clark 🇺🇸
♬ original sound - Guinness World Records

コンテンツ選びにおいて、新たな可能性を模索することはとても重要です。そこで私たちは、（長い爪など）人体にまつわる記録を紹介。他にも、驚きや興味をひくようなカテゴリーを紹介してみました。これらは良い結果をまねくことになり、例えば最も背の低い女性の動画はTikTokで5,500万回再生を記録しました。

@guinnessworldrecords
Ayanna Williams has finally cut her amazing fingernails after 29 years! 💅🏾🇺🇸 With @ripleysbelieveitornot ##nails
♬ original sound - Guinness World Records

TikTokで人気となった動画を、他のプラットフォームで活用する試みも行いました。これによって、TikTokにおける人気動画はSnapchatでも活用できることが確認できました。また、Facebookに投稿する動画においても、TikTok同様、冒頭でアクションを含んだ方がリテンションが向上する傾向があることも分かりました。

強力なパートナー

よりプラットフォームに適した動画を投稿するのみならず、他の企業（TikTok本体含む）とパートナーを組むことも、フォロワー増加につながりました。

例えばTikTokのイギリス支社とコラボし、書籍『ギネス世界記録』の編集長、クレイグ・グレンディとライブ配信を行ったり、#LearnOnTikTok シリーズを製作したりしました。

また、イベントなどに合わせた独自のハッシュタグを作ることもおすすめします。私たちも「ギネス世界記録の日」に合わせたイベントで #RecordsDay のハッシュタグを使用し、TikTokerにもこのハッシュタグの使用を促しました。結果、このハッシュぐタグが付いた動画の再生回数は40億回に迫りました。

TikTokでうまくいくことは？うまくいかないことは？

0フォロワーから1,180万フォロワーまで成長させてきた過程で、TikTokでブランドのメッセージやトーンを損ねることなくパフォーマンスを上げる方法を学んできました。その中から、あなたの会社でも使えるコツをご紹介します。

パーティーへようこそ

FacebookやSnapchat Discoverでは、ユーザーにインパクトをもたらすことができる時間は3秒です。しかしTikTokでは1秒程度と見た方がいいでしょう。最初から見せ場を作るか、より大きな驚きに向けた魅力的なオープニングにしましょう。このプラットフォームではショットや丁寧なイントロは望ましくありません。

短さが大事

1分程度の動画でも良い結果を出すことは可能です。しかし、ほとんどの場合、短い方が良いです。同じ動画を1回以上見てもらえれば、TikTokのアルゴリズムは味方をしてくれます。今はなきVineにおける完璧なループのようなものが、このプラットフォームでは目指すべきコンテンツです。

グルーブにのって

TikTokにおいて、音楽は非常に重要な要素で、このプラットフォームから人気になったミュージシャンも数多く存在します。動画のアクションに合わせてビートを置くとさらに見ごたえがアップします。また可能であれば、動画の開始時点と終了時点の音楽がつながるようにしてみましょう。多くのブランドは人気アーティストの音源を使用することはできませんが、TikTokのロイヤリティフリー音源や、自身のオリジナル・トラックを使用することができます。

ハートを持とう

TikTokは主に、人間がおもしろいこと、楽しいこと、驚くべきことをやっている動画を見る場所です。私たちは、新たな発見やエモーショナルな内容、（インタビュー抜粋などの）言葉が含まれた記録がファンの共感をまねき、新たな視聴者とフォロワーにつながることを、何度も経験してきています。短い時間でモチベーションやインスピレーションにつながるメッセージが入っていると、よりエンゲージを上げることができるでしょう。

マーケティング・チームは一歩下がって！

多くの企業は新しいソーシャルアプリを通じて自身のプロモーションやサービスの紹介を行いたいと考えるでしょう。しかしTikTokはぎこちない広告手法やセールスピッチには適していない場所です。私たちのチャンネルは記録保持者にスポットライトが当たるようにしています。彼らこそがギネスワールドレコーズにとって最も重要な部分ですし、それを可能な限り強調したいという思いがあるからです。もし商品を紹介したいのであれば、受け入れられる土壌を作り、おもしろい視点から、シェアしたくなるような形で行いましょう。