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プロウイングスーツ・パイロットの伊藤慎一さんが、新たにギネス世界記録を更新しました。

伊藤さんは過去に水平飛行距離(26.9 km)や最高飛行速度時速(363 km)など、数多くのウィングスーツの記録を更新してきました。しかし今回彼が挑んだのは、パラシュートを用いての記録でした。「パラシュートで最も長い直線距離飛行|Greatest horizontal distance parachute flight」はその名の通り、空中でパラシュートを放ってから地上にタッチダウンするまでの直線距離を競うもの。伊藤さんは、高度約10,000 mから飛行機を飛び出し、着地まで46.2 kmの飛行を成し遂げました。

伊藤さんによると、飛行機で10,000 m まで急上昇する際、気圧も急激に低下してしまい、血液の中に含まれている窒素が泡になってしまうのだとか。それを防ぐために、事前に100%の酸素を吸って体内の窒素を出さなければならないそうです。「離陸する前に、飛行機の中で1時間ぐらい吸って、離陸して上昇している間もずっと酸素を吸っています。」

また飛行機から飛び出す時も、3,000~4,000 m からのダイビングと勝手がちがうのだとか。「(通常の高度なら)出たときは風が受けることができるんですけど、10,000 mだと飛び出した瞬間は受ける風がないんで、バランスを崩しやすいんですね。(飛行機の)横から出るんですけど、出たときにバランスがふっと崩れてしまうと、スピードも出ないし距離も出なくなってしまいます。」

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伊藤さんが初めてスカイダイビングをしたのは、アメリカに初めて行ったときの事。現地の友達に「パラシュートができるセンターが近くにできた。知り合いが働いてるから、やりたいんだったらすぐ予約してあげるよ」と言われ、即座に「明日飛びます」と答えたそう。

パラシュートの経験を積み、やがてはウィングスーツにチャレンジするようになった伊藤さん。その後ウィングスーツでギネス世界記録に挑戦します。

今まで5つの記録を更新してきた中で、特に伊藤さんの印象に残っているのは、最高速度の記録。「挑戦するとき、ちょうど雲の層が2層あって、飛び出たとき地上が見えなかったんです。下にいっぱいある雲をふっと見たときに、明らかに雲の流れが速いのが分かったので、「いままでと明らかにスピードが違うな」とすぐわかりましたね。」と、伊藤さんは当時を振り返りました。

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今回で6回目のギネス世界記録更新を果たした伊藤さん。今後もウィングスーツなどで活躍し、新たな記録にも挑戦していきたいと意欲を示しました。

「人はどこまで飛んでいけるんだろうか、といった冒険をしていくのに魅力があります。チャンスがあれば、まだまだこれからも空の冒険を続けてみたいと思っています。」

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